ART 日本美術家列伝 室町～江戸時代前期篇 時代に翻弄されつつも、影で輝いた「不遇の絵師」 狩野山雪 矢島 新氏 跡見学園女子大学 教授
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室町時代に始まる狩野派が、日本絵画史上、さらに言えば世界史上にも稀な、巨大にして長く続いた絵師集団であることをご存じの方も多いだろう。この連載でもすでに戦国時代に流派の基礎を築いた二代目の元信と、安土桃山時代に信長らの天下人に愛された四代目の永徳を取り上げている。次回取り上げる予定の永徳の孫の探幽は、家康に取り立てられて江戸時代の隆盛を準備した功労者だ。彼ら狩野派歴代の棟梁は時代に愛された絵師と言って良いが、今回の主人公・山雪は、やや不遇の絵師と言わなければならない。