調査レポート Data「With/After COVID-19時代の『新しい研修・学習スタイル』提供に向けた実態調査結果」より 実態調査から読み解く、新たな人材育成の方向性 小河原 光司氏 株式会社日本能率協会コンサルティング ビジネスプロセスデザインセンター チーフ・コンサルタント
ニューノーマル時代にはどのような人材育成が必要になるのだろうか。本調査より、理想の「新しい研修・学習スタイル」の実現に向けた課題を提起し、新たな人材育成の方向性を考察する。
「新しい研修・学習スタイル」の萌芽
最近、経営者の方や人材育成のご担当者、責任者の方とお話しするなかで、ある特徴的な発言を複数の方からお聞きしました。その発言とは、「コロナ禍の状況は、実はチャンスなのではないか」ということです。
2020年の前半は、緊急事態宣言もあり、企業も個人も身を縮めてコロナに備える「防御」のタイミングだったことでしょう。
しかしながら、いま、このタイミングにおいて、潮目が変わったのではないでしょうか。身を縮めた「防御」から、この With/After COVID-19時代を逆に「機会」ととらえ、変革のチャンスとしようとする萌芽を、クライアントとのディスカッションから感じています。
スイスの世界経済フォーラムも、2021年1月にオンラインで開催されるダボス会議のテーマを「グレート・リセット」とし、今回の危機を契機に、より公平で、持続可能で、強靱な未来をつくることの重要性を唱えています。
新たな方向性を育成機能とインフラ両面から探る
こうしたビジネス環境の現状を踏まえ、日本能率協会コンサルティング(以下、JMAC)では、人材育成領域における変革の在り方を提案すべく、2020年7月に「With/After COVID-19時代の『新しい研修・学習スタイル』提供に向けた実態調査」を行いました。
本調査を設計するなかで、「JMACラーニングピラミッド」というフレームワークを開発しました(図1)。
このピラミッドは「人材育成に直接かかわる諸機能」として①ラーニング企画(人材育成の全体企画)②研修企画(個別の研修企画)③(研修)実行④ 育成フォロー(研修後の育成支援への関与)の4機能。