第14回 多面的に物を見て、色をつけないことこそが強み 視聴者の「そうだったの!」を引き出すために 小森谷 徹氏 情報番組キャスター
TBS の情報番組「ひるおび!」の情報プレゼンターとして、毎日新鮮なニュースを届けてくれる小森谷徹さん。
多士済々に囲まれた役者時代を経て、ニュースを伝えるプロになるまでの想い。
また、情報が溢れるこの時代の、インプット・アウトプットの仕方について話を聞いた。
ダイナミックに“魅せて”伝える
――昼の情報番組で新聞記事を紹介する「新聞マイスター」としておなじみの小森谷徹さん。勢いよく飛び出す新聞ボードを素手で受け止めてから紹介するなど、斬新な見せ方が番組の名物になりました。
小森谷氏(以下、敬称略)
あれは、スタッフが脇からボードを滑らせているのですが、最初にやろうとなったとき、僕は彼らに「感情を込めて投げてほしい」と注文したんです。明るいニュースのときは勢いよく、深刻なネタや悲しい話題は手にギリギリ届くぐらいゆっくりと。まさにスタッフの職人芸なんですよ。
そうやってダイナミックに見せたほうが視聴者の方にも伝わりやすいし、番組MC の恵俊彰さんと僕の掛け合いのテンポとも絡んで面白いじゃないですか。
――準備が大変でしょう?
小森谷
今は見せ方が少し変わりましたが、ボードがバンバン飛んできたころは、僕も毎朝3時に起きて、ジョギングやストレッチをしてから早朝のテレビのニュースを各局ザッピングしていましたね。新聞記事はスタッフがチェックしているので、僕は映像のほうを。
――午前3時からですか!?
小森谷
スタッフのほうが大変ですよ。僕たちのコーナーはネタありきではなく、あくまで新聞記事として書きっぷりの面白いものを紹介する主義だから、朝がきて実際に新聞を読んでみないと選べない。ボードを作り込むのも、そこからお昼までが勝負なんです。最初のころはもう番組が始まっているのに、ボードに貼る記事のプリントがまだ終わっていなかったり、本番中に記事を紹介していると、裏でスタッフが次の記事に赤線を引っ張っている音が聞こえてきたり、そんなことがしょっちゅうでしたね。朝刊で紹介されたモノを現物入手して番組中に届ける「現物入手」という企画では、岡山の農家さんにいきなりお願いしてブドウを新幹線で東京駅まで運んでもらい、バイク便で受け取る……なんてこともやりました。もう、毎日が即興劇。でも、そういうライブ感が自分にはやはり向いていたんですね。もとは舞台の役者ですから。