SPECIAL INTERVIEW 現場起点の“店舗・本部ぐるみ活動” 成功のヒケツとは
福岡トヨペットは福岡県内に約40店舗を構える自動車販売ディーラーである。自動車販売台数が低迷する中、他の多くの自動車販売会社が志向しているように、従来の新車重視の突撃型の「訪問型営業」から、点検・車検などのサービス入庫を軸として顧客に店舗に来てもらう「来店型営業」へと販売スタイルを変革してきた。
また、顧客に愛され続ける会社になるため、「ES」「CS」「業績向上」の3つを実現する会社として、店舗を起点としたさまざまな改革に取り組んでいる。
改革を進める中で、その軸となっているのは“店舗・本部ぐるみ活動”と呼ばれる全員ミーティングと“本部支援担当者”と呼ばれる本社スタッフの存在である。
●店舗・本部ぐるみ活動とは
―“店舗・本部ぐるみ活動”とはどのような活動ですか。また、これを始めた背景は?
中尾氏
当社で行っている“店舗・本部ぐるみ活動”とは、各店舗で2週間に1回店舗の店長とスタッフ全員が集まり、店舗が抱えている課題を話し合い、解決策を店舗自らが考え、実行していくためのミーティングです。
もともとこの業界は、上が決めたことをきちんと実行する文化が根強く、販売店はメーカーから言われたことを、販売店の店舗は本部から言われたことを粛々と実行することで成果が上がってきました。
当然ながら当社も、10 年前の社員の意識は、「本部のメンバーが変われば言うことも変わるだろうから、その時言われたことをやっていればいい」という感じでした。
しかし、市場環境が変わり、お客様のニーズや要望が多様化する時代になりました。そのため、現場がそれらに臨機応変に対応していかないと売れませんし、お客様に愛されるお店づくりも難しくなります。
必要な情報は全て現場が持っています。現場が自ら考え実行しなければなりませんが、従来のスタイルのように上が「現場起点で考えろ」などと言っても、現場は変わりません。ですから、スタッフが自ら考え、自分たちで改善していくための仕組みとして、私がトヨタ自動車にいた時から各販売店に支援・導入してきた手法の“店舗・本部ぐるみ活動”を活用しました。
●機能させる3つのポイント
―形としては普通のミーティングのようにも見える“店舗・本部ぐるみ活動”をどのように活用し、機能させていったのでしょうか?
中尾氏
ポイントは3つあります。まず、改革を成功させるために必要なのは、“幹部が一枚岩になる”ことだと考えました。