CASE 1 参天製薬 参加学生の満足度が高まる 顧客視点の重要さを学ぶ 勝ち抜き戦インターンシップ
これまでの参加者が5000人を超えるうえ、高い満足度と評価を得ている参天製薬のインターンシップ。
予選から最終ステージまで勝ち抜き戦のスタイルとなっている。
学生が集まる理由は何か? ビジネスパーソンにとって最も必要な課題解決力を身につけさせるための仕組み、狙いを取材した。
● 目的 企業の実像を知ってもらう
参天製薬のインターンシップは、参加学生の満足度が高い。といっても手軽に楽しめる内容では決してない。ファースト・ステージの予選会に始まり最終ステージに至るまで、次に進めるのは成績優秀者だけ。勝ち抜き戦を真剣に競い合う厳しいインターンシップだ。全ステージを勝ち抜くには、5日間以上が必要となる。
学生と企業がお互いに濃密な時間を過ごすが、「狭義の採用活動とは、完全に切り離した企画として実施しています」と同社・人材組織開発本部の諏訪雅子チームマネージャーは、その位置づけを語る。
インターンシップは採用活動とは別に設定されている。目的は大きく分けて2つ。1つめは可能な限り多様な学生のニーズをつかむこと。2 つめは、2020 年に向け大きく変わろうとしている参天製薬の実像を多くの学生に知ってもらうことだ。
● 背景『Vision2020』に向けて
製薬企業といえば募集職種は主としてMR職もしくは研究開発職で、志望するのは主に薬学部の学生─というのが一般的なイメージだろう。他の製薬企業の場合、インターンシップの対象も薬学部の学生が多く、その内容は、例えば「MRとしての医師との関わり方を学ぶ現場同行」などが多い。
ところが、参天製薬のインターンシップは、参加者も内容も全く異なる。理由は同社が今、長期的な経営ビジョンを掲げ、大きな変革期にあることだ。2020 年には、『世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー』となるため、医療用眼科薬事業において日本、アジアでナンバーワン、グローバルでもトップ3以内をめざす。海外売上比率の目標は40 ~ 50%。その実現に必要なのは多種多彩な人材である。
実際、国内社員の約4割がキャリア採用入社であり、電機メーカーや消費財メーカー、商社、コンサルティング会社、金融会社など他業界出身者も多い。「新卒においても、理系・文系、希望業界や職種を問わず、可能な限り幅広い人材と出会い、彼らのニーズを肌でつかみたいのです。経営ビジョンを実現するにはダイバーシティ(多様性)は重要な要素です。同時に、当社の実情を知ってもらうことで、今後就職を希望される場合も、就職後のミスマッチを減らせるのでは、と期待しています。『大阪にある目薬会社で、国内市場を相手にした古風な会社』といったステレオタイプなイメージも払拭できればいいですね」(人材組織開発本部津田直幸グループマネージャー)
多様な学生の参加を促すには、どのようなインターンシップが望ましいのか。参加学生の満足度を高めるためには、プログラムをどう構成すべきか。4 年前にスタートしたインターンシップは回数を重ねるごとにブラッシュアップされてきた。