仲間とプレイグラウンドを守る “ガキ大将リーダーシップ”で 随所に主となる組織をつくる 瀬川大介氏 リコーリース 代表取締役 社長執行役員
会社名に反して“「リース」の先へ”をビジョンに掲げるのは、2016年からリコーリースの社長を務める瀬川大介氏である。
リコー出身だが、リコー関連以外への事業領域の拡大、そしてリースの先を目指すうえで、社員との直接対話からつかんだ課題をもとに、
数々の改革や組織能力の向上策を行ってきた。
その内容と背景とは。
社会的な課題をとらえて“リースの先へ”行ける人材
─2017年度から2019年度までの中期経営計画で、“「リース」の先へ”という言葉を掲げられました。この言葉は、どのような意味でしょうか。
瀬川大介氏(以下、敬称略)
私がリコーリースの社長に就任した2016年当時は、リーマンショックや会計基準変更の影響などから、国内におけるリースの取扱高は伸び悩んでおり、我が社が成長を続けるためには、リースはもちろん、リース以外のことにも挑戦していく必要があります。その思いを込め、“「リース」の先へ”というビジョンを掲げました。リースや金融だけでなく、環境・社会・お客様の発展に役立つサービスや商品を提供できる企業を目指しています。
この3年で、新しい芽は出てきています。その1つが住宅賃貸事業への進出です。不動産の分野について、私たちはもともと投資用マンションローンや大家さん向けの家賃保証付きの口座振替サービスを行ってきました。これらのビジネスで培った不動産に関する知見やノウハウを活かし、新しい事業として住宅賃貸事業へ進出することにしたのです。自ら住宅の貸主になることで、視野を拡大し、新しいサービスを生み出そうという狙いもあります。 他の企業と連携しながら住宅賃貸事業を拡大し、少子高齢化などから生じる社会課題の解決に貢献することを目指しています。
─“「リース」の先”へ行くためには、どのような人材が必要ですか。
瀬川
自分たちは社会に対してどのような役割を果たせるのか、それを理解し共感したうえで、お客様の経営上の課題をとらえて新しいものをつくっていける人材ですね。ただ、私が就任した当初は、そのような人材がまだ活躍できていないと感じていました。
我が社はこれまで、事務用機器や医療機器等の製品を販売する会社に対し、リースというファイナンスサービスを通じて販売を支援するベンダーリースを得意として成長を続けてきました。リース契約を通じて販売会社の営業活動を支援することで私たちは効率的な営業活動ができており、このビジネスモデルで約40万社の顧客を築いてきました。こうした強みがある一方で、“リースの先”へ行くためには、さらなる強みを創る必要があり、そこには新たな価値観を創造する人材の力が必要であることは言うまでもありません。
先ほど申し上げた家賃保証付きの口座振替サービス等を担当している部門は、もともと「金融サービス本部」という名称でしたが、あるとき、より社会課題解決に向けた幅広いサービスの提供を目指すために「ソーシャルイノベーション本部」に改称したいと提案してきました。こうした前に向かう声を広く吸い上げるような改革を行うことを決意しました。