第10回 歌はコミュニケーション 責任をもって、一生子どもたちの “うたのおねえさん”で在り続ける 茂森 あゆみ 氏 歌手
17代目うたのおねえさんとして、6年間『おかあさんといっしょ』に出演、子どもたちに歌を届けてきた茂森あゆみさん。
昨年11月には60周年を迎えた同番組の記念コンサートで舞台に立った。現在3児の母となった茂森さんに、当時の生活や、歌に対する想いを聞いた。
うたのおねえさんをもう一度!?
――昨年60周年を迎えた「おかあさんといっしょ」。11月の記念コンサートでは、茂森さんも久しぶりに「あゆみおねえさん」として、子どもたちと再会されました。
茂森 あゆみ氏(以下、敬称略)
あらためて、番組の偉大さを感じましたね。その歴史にかかわれたことは本当に名誉、一生の財産だなと。私も母になって実感したのですが、つけっぱなしにして子どもに見せながら安心して家事ができる、こんなありがたい番組はありません。本当に助かりました。
できることならもう一度、うたのおねえさんをやり直したいくらい。いまなら若いころと違う表現ができる気がするんです。でも、あの動きはもう無理かも。先日のコンサートでご一緒した現役のおねえさんとは、20歳も違うんですから(笑)。
――武蔵野音楽大学在学中にうたのおねえさんに就任されました。もともとはオペラ歌手を目指していたそうですね。
茂森
はい。幼いころから歌が好きで、いつでもどこでも歌っていたらしいのですが、母がそれを「うまいね、いい声だね」とほめてくれるので、自分は歌がうまいんだと勝手に思い込んでいました(笑)。歌手になりたいと思ったのは、小学5年生のときに、当時世界最高のソプラノ歌手といわれた、レナータ・スコットのリサイタルを観たのがきっかけです。
姉の影響もありましたね。うちは三姉妹で、みんなクラシック音楽を習っていましたから。上京して、武蔵野音大に附属高校から通ったのも、一番上の姉と同じ。何となく自分もそうするものだと思っていました。だから、大学3年でうたのおねえさんのオーディションを受けてみたらと、先生から勧められたときは、正直ピンとこなかったんです。姉と同じようにオペラの道を目指して、大学院に進もうと考えていましたから。