CASE6 サトーホールディングス 独自文化「三行提報」を育成につなげる取り組みも “現場力”を発揮できる人財育成のため データを一元化し人財を可視化 江上茂樹氏 森 麻子氏 サトーホールディングス
中期経営計画に基づく人財戦略ロードマップで「タレントマネジメント」に注力することを明文化したサトーホールディングス。
人事データベースの一元化とその活用、さらにその先を見据えた取り組みについて聞いた。
データベースの統一で効率化を目指す
サトーホールディングスでは、タレントマネジメントを「人事データを一元化し、人財を可視化すること」と位置づけ、クラウド型人事データベースを導入している。その経緯について、執行役員最高人財責任者(CHRO)の江上茂樹氏は次のように説明する。
「当社のコアコンピタンスは『現場力』です。現場力を発揮でき、またそのベースとなる企業理念を体現する人財を育成して、会社の持続的な成長に結びつけていくことが、人事部門の存在意義でもあります。そのためにはまず、社内にどんな人財がいるのかを把握できるデータベースを整備しなければならないと考えました」
ところが、当時の同社の人事データベースには技術面の課題があった。人事管理や評価、給与計算等のデータベースが個別に存在していたため、情報が必要なときは複数のデータベースから集めなければならず、異動など人事情報に変更があったときは各データベースに手作業で反映しなければならない。そうした人事部門内のオペレーションを改善するという目的もあり、データベースの統一に着手した。
見るだけでなく「使う」アクションを組み込む
検討を始めた当初は大手企業で導入されている有名なタレントマネジメントシステムを導入しようと考えたが、2つの理由で断念した。
「1つは、はじめてタレントマネジメントに取り組む当社では、機能が立派すぎて使いこなせないのではないかという懸念があったこと。もう1つは、当時の経営陣を納得させられるようなコスト感ではなかったため、費用対効果に疑問があったことです」(江上氏)
システムの検討を進めていた2016年半ばごろ、「カオナビ」というサービスに出会う。機能の拡張等の自由度が高いことや、コストが手ごろだったことなどから導入を決めた(次ページ画像1)。