CASE2 アマゾンジャパン|全員がリーダーシップを発揮する組織 哲学+人事のパートナーシップが マネジャーの意欲と行動を引き出す 曽我野 麻理氏 アマゾンジャパン コーポレート人事本部 エンプロイーリレーションズ&エンゲージメント部長
組織と個人をつなぐ存在であり、自らもプレーヤーであることが求められるマネジャーたち。彼らのモチベーションを引き出し、リーダーシップを高めるには――。アマゾンジャパンにおける人事とマネジャーとのパートナーシップの在り方を取材した。
自由な風土に根づくリーダー育成
ジャングルをイメージした受付。そばにはボルダリングのできる壁がそびえ、恐竜のオブジェが出迎える――。東京・目黒にあるアマゾンジャパンは本社オフィス内にフリーアドレス制で、遊び心のある作業スペースを用意している。社員の多くが完全フレックス制や在宅勤務制度を活用。役職を付けて名前を呼ばず、服装もカジュアルな社員が目立つ。
自由なカルチャーをもつアマゾンジャパンだが、マネジメントについては単なる自由放任主義というわけではない。すべてのマネジャーにとって判断基準となる理念があり、人事がパートナーとなり、支えるしくみがある。リーダー向けの自発的なセルフ・トレーニングも充実している。
具体的にどのようにマネジャーたちのエンゲージメントを高める工夫をしているのか。次から見ていこう。
●リーダーシップ・プリンシプル
同社では、マネジャーを含むすべての社員がリーダーである。何を目指し、どういう基準で行動すべきかを、14 項目からなる行動指針「リーダーシップ・プリンシプル」で定めている(図)。全社員にとっての行動指針であり、組織をいかにマネジメントしていくかに悩むマネジャーには、まさに自らを導いてくれる羅針盤といえるだろう。
顧客起点で考え(CustomerObsession)、自分の意思と責任で行動する(Ownership)――。社員の採用には、この行動指針に合っているかを重要な基準の1つとしている。
「リーダーシップ・プリンシプルは、すべての行動のベースです。みんながリーダーシップ・プリンシプルに共感して仕事をしているので、お客様のために何が一番よいかを考えるという点がブレることはありません。グローバルの共通言語でAmazon の一番の強みです」
コーポレート人事本部エンプロイーリレーションズ&エンゲージメント部長の曽我野麻理氏はそう説明する。
リーダーシップ・プリンシプルを学ぶ専門の教育プログラムは新人向けの数時間の紹介のみで、基本は日常の会話を通じて自然と浸透し、身についていく。