HR TREND KEYWORD 2019│健康│ヘルスリテラシー 職場での取り組みが重要 「健康を決める力」を養うために必要な社会や企業の役割とは 中山和弘氏 聖路加国際大学大学院 看護学研究科 看護情報学分野 教授
健康や医療に関連する分野で、最近、世界的に注目を集めているワードが「ヘルスリテラシー」だ。
ヘルスリテラシーの概要や現状について、聖路加国際大学大学院の中山和弘教授に聞いた。
ヘルスリテラシーは意思決定能力
「ヘルスリテラシーとは、最終的には、“意思決定により、健康を決める力”だといえます」
そう話すのは、聖路加国際大学大学院看護学研究科教授の中山和弘氏である。
もともと『リテラシー』という言葉は、“letter”=『文字』を由来としていて、文字の読み書き能力、識字を意味する。特に情報化時代を迎えた現代に求められる「情報リテラシー」は、ヘルスリテラシーにも通じる。
「様々な情報が溢れるなかで、膨大な情報のなかから自分に合ったものや信頼できるものだけを取り出して上手に利用する能力が必要です。具体的には、自分に必要な情報を『入手』する力。次に、入手した情報を正しく『理解』する力。さらに、それが信頼できるかどうか『評価』して、選別する力。最後に、それを『活用』する力です(図)。活用するとは、そこで何らかの意思決定をして行動に移すことであり、それができなければ、情報が役立ったとはいえません」(中山氏、以下同)
ヘルスリテラシーとは、簡単にいえば健康情報についての情報リテラシーを指す。すなわち、健康や医療などに関する自分に必要な情報を、選択肢のなかから適切に選び、意思決定をして、健康を維持したり取り戻したりする「健康を決める力」ということだ。