HR TREND KEYWORD 2019│働き方│ワーケーション 創造的な活動で 生産性向上と地域活性化に寄与 天野 宏氏 和歌山県 企画部 企画政策局 情報政策課 課長
テレワークを活用し、環境の良い場所で仕事をしながら、休暇なども楽しめる「ワーケーション」という働き方が注目されている。この取り組みを進めるのが、和歌山県白浜町。同県でワーケーションをけん引してきた天野宏氏に、話を聞いた。
ワーケーションが進む背景とは
「ワーケーション」とは、仕事と休暇などを融合させた欧米発の造語である。テレワークを活用し、地方のサテライトオフィスなど環境の良い場所で仕事をしながら、休暇や地域ならではの活動なども楽しもうという働き方だ。世の中全体の働き方改革推進にともない、日本でも導入を進める自治体や企業が登場している。
「これは2011年ごろ欧米で生まれ、使われ始めた言葉です。日本で使われるようになったのは2017年ごろからですが、それ以前からITに精通した大企業の役員などは、別荘で仕事をするなどワーケーション的な働き方をしていました。このメリットは、まず社員のワークライフバランスの改善や生産性向上が期待できる点。そして、地域でのボランティアや社員の能力開発の機会が増え、会社としても、社会的貢献や地域などとの共通の価値創造につながるというメリットがあります」(和歌山県企画部企画政策局 情報政策課課長の天野宏氏、以下同)
以前は限られた人しか行えなかったワーケーションが、幅広い社員を対象として実践されるようになってきた背景には、下記のようなポイントがある。
①IT の進展と環境整備の充実
コワーキングスペースやサテライトオフィスも増えているように、IT技術が進展し、場所を選ばず仕事をするためのWi-Fiなどネットワーク環境が整ってきた。
②案件ベースの働き方が増加
案件ごとに必要な能力をもつ社員を集めるプロジェクトベースの仕事が社内外に増加し、場所にしばられない働き方へのハードルが低下した。
③創造を望む価値観への変化
働き方や余暇の過ごし方について、若者の志向の変化も影響している。
「休日は買い物や娯楽施設などで消費を楽しむのではなく、自然豊かな地方で創造的な活動をすることで、公私ともに人生を充実させたいと考える人が増えています」
ハード面の充実ばかりではなく、人生と働き方のバランスや、より良く生きることを望む人たちが増えてきたというのも、ワーケーションを促進させている理由である。