第3回 富士通エフサス みなとみらいInnovation& Future Center(神奈川県・横浜市) 稲水伸行氏 東京大学大学院 経済学研究科 准教授
どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
本連載は、オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の
稲水伸行氏が企業の研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。
“イノベーション”の浸透
扉を開けると、まるで近未来を思わせるようなエントランスが迎えてくれる(タイトル横写真)。ここは富士通エフサスの「みなとみらいInnovation& Future Center」。人財の育成を行う研修センターとイノベーションを創出するフューチャーセンターが融合した施設である。
「当社の祖業は、コンピューターのメンテナンスですが、お客様や社会と持続的に成長していくため、これからはサービスのイノベーションを起こさなければならない。そのような理由から、2012年に経営層より、イノベーションに力を入れる方針が打ち出されました。当センターは、その象徴的な場所として2013年6月に設立しました」(イノベーション&フューチャーセンター長の桶谷良介氏)
もともと同社の研修施設は関内にあったが、耐震基準と震災による影響を鑑み、移転先を検討していた。フューチャーセンターと研修センターの2フロアがあり、各フロア500坪の広々とした空間だ。
「フューチャーセンターとは、多様な人々が集まり、対話を通じて豊かな未来を共創する場を指します。我々も、社外の方々と共にイノベーションを起こしたり、地域課題の解決につなげる場が必要だと考え、当センターをつくりました。現在は、顧客と一緒に新しいビジネスモデルを考えるワークショップを行ったり、外部の方との様々なイベントにも使っています」(桶谷氏)