Chapter2 求められる「遊び」とは|OPINION2 子どものころの感覚を思い出そう 与えられた枠の中でも自由な遊びは生まれる アレクシー・アンドレ氏 ソニーコンピュータサイエンス研究所 リサーチャー
遊びは子どもだけのものではない。
ソニーコンピュータサイエンス研究所で「遊び」について研究しているアレクシー・アンドレ氏に、
大人の遊びについて聞いた。
なぜ大人は遊ばなくなったのか
「子どものころはもっと自由に遊んでいましたよね。たとえば『ごっこ遊び』。果てしなく広がる想像力で、奇想天外なストーリーを紡ぎ出し、いつまでも遊び続けていられたのではないでしょうか。それなのに、大人になると遊び心を失ってしまうのは残念です」
そう話すのは、ソニーコンピュータサイエンス研究所で「遊び」について研究しているアンドレ氏。
大人になるにつれて遊び心を失ってしまう背景には、プロが作ったコンテンツの方が面白くなってしまうこと、ルール通りにやらなければいけないという固定概念にとらわれてしまうことがあるという。しかし、ルールがあるから遊べないというのは違うのではないかとアンドレ氏は指摘する。
「ルールや与えられた枠の中でも、自由に遊べる部分はたくさんあるはずです。大人は『自分にとっての遊びとは何か』を問い直した方がいいかもしれませんね。料理が遊びだっていいわけです。たとえば、いつもは使わないレモンを使って今までとはちょっと違う味つけにしてみるのも遊びです。通勤ルートを変えてみるのも、昼食でいつもと違うメニューを頼んでみるのも遊びです。こういうことなら冒険できるし、失敗してもたいした失敗ではありません。でも遊びを通して感じた喜びや達成感は、いろいろなところに活きてくると思います」(アンドレ氏、以下同)
ちなみに、アンドレ氏の好きな日本語は「やってみないとわからない」、嫌いな日本語は「しょうがない」だそうだ。