Chapter2 求められる「遊び」とは|SPECIAL COLUMN ゲームクリエイターに聞く!! 面白さの要素を分解して感性を磨く 遊びを生かす仕事とチームづくり 山下浩平氏 セガゲームス 第2CSスタジオ 第2企画セクション ゲームディレクター
遊びの要素を仕事にも取り入れ、楽しみながら働く。その代表的な仕事と考えられるのがクリエイターである。
そこでゲームディレクターとして数々のヒット作を手がけてきた山下浩平氏に、仕事と遊びについての考えを聞いた。
子どものころ観た映画がヒントに
「この業界では、『ゲームからゲームをつくるな』とよく言われます。憧れのゲームをモデルにしたものは、ユーザーにとっても目新しさが感じられないものであり、やがて飽きられてしまう。ですから、普段から面白いことへのアンテナを張り、それをゲームに取り入れられないか考えています」
そう話すのは、ゲームディレクターとして数々のヒット作を手がけてきたセガゲームスの山下浩平氏だ。代表作の『戦場のヴァルキュリア』シリーズは、バトルゲームでありながら戦争に対する苛立ちと主人公の葛藤などが盛り込まれており、映画さながらのストーリーの緻密さも相まって人気を博している。
新しいものをゲームに取り入れなければいけない。そう実感したのは、入社3年目、同シリーズの立ち上げに携わったときだった。
「初代『戦場のヴァルキュリア』でゲームの核となるバトルシステムの担当になったとき、『プロトタイプがつまらない』と上司に一蹴されたんです。思っていたような戦場の臨場感を、再現できていなかったのです。自分なりにその理由を突き詰めていったところ、“ゲーム” という枠の中でしか考えていなかったことに気づきました。シミュレーションゲームならこんなものだろう、と。それで、再度ゼロから考え直すことにしました」
ヒントとなったのは、親の影響で子どものころから見ていた戦争映画だった。そうか、あの世界をゲームに取り込めばいいのか―。これが同シリーズを支えるバトルシステム、『BLiTZ』誕生のきっかけとなった。
“ 面白さ” の構造を分解
自分が観たもの、触れたもの、感じたもの。クリエイティブは自分の中からしか生まれない、だから様々な経験が必要だと山下氏は語る。