Chapter2 企業事例|CASE1 ゼビオグループ “何がしたいの?”の問いかけが鍵 出る杭を引っこ抜く制度と風土 矢野智弘氏 ゼビオコーポレート グループ人事部長 兼 採用教育担当リーダー
“出る杭”の育成を重視している企業の事例としてまず紹介するのが、量販店をはじめ、スポーツビジネスを広く手がけるゼビオグループである。
出る杭人材を活かす仕組みと風土の在り方について聞いた。
●背景と経緯 “出る杭”は創業からの共通言語
全国に大型スポーツ専門店を展開し、自社ブランド商品の開発やスポーツマーケティングにも活動の場を広げるゼビオグループ。同社にとって「出る杭」は、創業当時から続く社内共通言語のひとつだと、グループ人事部長であり採用教育担当リーダーを務める矢野智弘氏は言う。
「当社は1973年に福島の小さな紳士服店としてスタートしましたが、創業当時は人材の確保に苦労したと聞いています。少数精鋭で気骨のある人材を求めていたこともあり、常々、『出る杭は引っこ抜く』考え方が社風となっていました」
“引っこ抜く”というのは、「杭の出方が足りない」というメッセージである。
「『打つことすらかなわないほど、強烈に飛び出す杭となれ』と、創業者である諸橋延蔵は社内に発破をかけ続けていました」(矢野氏、以下同)
同社は持ち前の推進力で、全国展開を図るなど順調に成長を遂げた。そこで大きくなった組織について考えるひとつの方法として、若手人材を中心に「出る杭プロジェクト」を立ち上げ、組織化した。2000年のことだ。
「現状からさらに飛躍するために、若手人材を公募し、社内組織の考え方を制度化しました。『今のままの店舗運営でいいのか!?』ということや人事制度についてなど、率直で熱い議論が交わされたのを覚えています」