CASE.1 大阪ガス 根づき始めたグローバルマインド 仕事力・突破力・語学力を備えた人材を育てる
関西地域のガス供給会社というドメスティック企業のイメージが強い大阪ガスだが、2009年に策定した長期経営ビジョン・中期経営計画「Field of Dreams 2020」を契機に、海外ビジネスのウエイトを拡大する方針を打ち出している。グローバルカンパニーへ脱皮するために必要となるグローバルマインドの育成について、同社の取り組みを取材した。
●背景 脱国内事業依存。海外事業を拡大
大阪ガスといえば、関西エリアでのガス製造・供給やガス機器の販売、メンテナンス、電力事業を中心とした「国内エネルギーサービス事業」(以下、「国内事業」)で知られているが、この他に、有機材料・炭素材料開発やITサービスなどの「環境・非エネルギー事業」(以下、「環境関連事業」)に加えて、海外での資源開発や調達などの「海外エネルギーバリューチェーン事業」(以下、「海外事業」)も展開している。
以前は「国内事業」の割合が大きかった。たとえば、2007年3月期から2009年3月期の「国内事業」「環境関連事業」「海外事業」の平均事業規模の比率を見ると、5対2対1で「国内事業」が全体の6割以上を占めている。
今後は、関西地域の人口減少に伴い、ガス需要の縮小が予想されることから、さらなる成長のためには、「国内事業」だけでなく、「環境関連事業」「海外事業」への注力も必要である。
そこで「Field of Dreams 2020」では、2020 年までに「環境関連事業」と「海外事業」の割合を拡大していく方針を打ち出した(図表)。
既存事業の深化と新規事業分野の拡大によるビジネスフィールドの拡大をめざすとともに、3つの事業領域をバランスよく成長させることで、シナジーの発揮とリスクの分散を図り、強靭な事業構造の確立もめざしている。「海外事業」は、これまで油田・ガス田の権益やLNG 船の保有などが中心だったが、こうした事業の拡大に加え、昨今では北米でのシェールガス輸出プロジェクトなどにも積極的に参画。さらに、発電事業でも海外案件への投資を増やしている。また、国内事業で培ったノウハウを生かし、シンガポールでの産業ガス販売を決定した。
このように、エネルギー供給の上流(生産)から下流(供給)までの全てにおいて、国内だけでなく、海外でも事業を展開していく方針で、これにより同社は、“関西のガス会社”から“グローバルエネルギーカンパニー”への飛躍をめざしている。