Chapter1 識者の視点~出る杭の育て方|OPINION2 大切なのは全体最適で考えること 本質を見極める人材が新たな価値を生み出す 横田宏信氏 ソスピック株式会社 代表取締役
続いて紹介するのは、「出る杭」育成の方法論である。
出る杭人材を多数輩出した元祖企業ともいえるソニー出身で、現在は出る杭を育成する研修を展開する横田宏信氏に、出る杭の育て方を聞いた。
出る杭人材はイノベーター
「『出る杭』はイノベーターです。常識を疑い、故にしばしば常識破りの変化、すなわちイノベーションを起こすことができる人なのです」
そう話すのは、ソニー出身の横田宏信氏。在籍中は自身も“出る杭”として活躍していた。ちまたでは、出る杭は奇人変人、生意気などと言われているが、横田氏の定義はそれらとは大きく異なる。
「ソニーは1969年の採用広告に『〈出るクイ〉を求む!』というキャッチコピーを掲げていました。つまり、今から50年ほど前に、『出る杭』が成長の源泉であることが分かっていたのです。だからこそ、20世紀最大のヒット商品とされるウォークマンをはじめ革新的な商品を生み出すことができたといえます」(横田氏、以下同)
そのような出る杭が、「今こそ求められているときはない」と横田氏は言う。
「ソニーの事例からも、出る杭が大きな経済価値を生むことは明らかですが、それだけではありません。出る杭とは、狭い常識にとらわれるのではなく、全体最適を考えて常識破りの変化を起こすことができる人材のことです。したがって、世界経済が低迷に向かい、閉塞感で覆われている今こそ、かつてないほどに出る杭は求められているというわけです」
全体最適の思考を身につける
横田氏によると、出る杭、つまり全体最適で物事を考え、イノベーションを起こすことのできる人材は、下記の方法で地道に育てていくことができるという。