Chapter 3 まとめ・企業における応用 探究型人材を生むための 実践サイクル 炭谷俊樹氏 神戸情報大学院大学 学長
最後に、企業で「探究型人材」を輩出するにはどうしたらよいか、
大人はどのように探究学習に取り組めばよいか、まとめてみたい。
「探究サイクル」を回す
これまで子どもの教育現場における探究学習の事例を中心に紹介してきたが、自ら主体的に課題を発見し、多様な人たちとの対話を通じながら課題解決を図る“探究型”の姿勢は、ビジネスにおいても不可欠なのは言うまでもない。
「探究とは単なる教育の問題ではなく、これからの世界において求められる、人の生き方や考え方の問題。仕事でも、一人ひとりが“探究型人材”にならなければ、日本企業に未来はありません」
神戸情報大学院大学の炭谷俊樹学長は、そう警鐘を鳴らす。
では、探究型人材になるためには、どうすればよいのか。炭谷氏が勧めるのは、『探究サイクル』を回し続けることである(図1)。
「まずは自分が取り組みたい課題を、自分で見つけてください。自分で決めた課題だからこそ、意欲的に取り組むことができるし、夢中になるほど集中できる、いわゆる『フロー』状態に入ります。そこまで入り込むと、必ず何らかの結果が出て達成感を得られる。そうなればしめたもので、また何かやりたくなるはずです。このサイクルを回し続けることが重要です」(炭谷氏、以下同)
課題といわれても、すぐには思いつかない人もいるだろう。だが、様々な視点から考えれば、誰でも問題意識を持っている何かを発見できるという。