Column 主体的・探究的な学びを促す「eポートフォリオ」 森本康彦氏 東京学芸大学 情報処理センター 教授
「探究的な学習」を進めるうえで、効果的なツールとして注目されているのが、ICT 機器を用いて学びの記録を蓄積し、それらを学習やその評価に活用する「e ポートフォリオ」だ。
e ポートフォリオが、どうして主体的・探究的な学びにつながるのか。
e ポートフォリオの活用に詳しい東京学芸大学の森本康彦教授に聞いた。
「野球ノート」による学び
最近の高校球児は、練習後にノートをつける。「今日は、これを試したけれど、できなかった。次回はこれをやろう」「チームメイトとこんなやり取りをして、こう感じた」……。試合のスコアや打率などの結果だけでなく、練習の中で起きた出来事や成長、達成、思いを含む、多様な振り返りの記録である。
なぜそんな練習のプロセスを残すのかというと、そうやって練習(学び)を振り返ることで、「以前はこれができなかったけれど、できるようになった」と成長の実感が得られると共に、「次はこうしてみよう」という教訓だけでなく意欲までも生まれ、結果、主体的に取り組むようになるためだ。大人たちが仕事で嫌々つくる、上司に提出するための「日報」ではない。自分のための学びの記録である。
このように蓄積された学びの記録を「ポートフォリオ」と呼ぶ。そして、それを電子化したものが、「eポートフォリオ」である。