今週の“読まぬは損”

第177回『人生が劇的に変わる「瞬読式」時間術 : 忙しさから解放され、本当にやりたいことに集中する』

菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー

菊池健司氏

読書の鬼・菊池健司氏イチオシ 今週の"読まぬは損"
1日1冊の読書を30年以上続けているというマーケティング・データ・バンク(MDB)の菊池健司氏。 「これからの人事・人材開発担当者はビジネスのトレンドを把握しておくべき」と考える菊池氏が、読者の皆様にお勧めしたい書籍を紹介します。

いつもながら時間との戦いは続く…

本連載や人材開発専門誌『Learning Design』の連載である「続・書籍に学ぶビジネストレンド」でもよくお伝えしているのだが、私はいわゆる「時間術」本フリークである。時間術関連の書籍については、表紙を見てピンときたら、ついつい即買いしてしまう。すなわち、常に自分の時間術には改善が必要だと思っていて、時間の使い方関連の本には目がないのだ。

どんなにクタクタでも、1日の終わりには振り返りの時間を持つことにしている。読んだ本の短評作成や、情報コンサルタントという仕事を生業としていることから、仕入れた有益な情報のポイントをデジタルメモに入力する等、なかなか手間がかかるが、一度止めてしまうと“きっとやらなくなる”という“小さな恐怖心”から、何とか長年この習慣を続けている。

ただ、最近はおかげさまで様々なオファーを頂けるようになってきたことから、1日が24時間では足りない、と思うことが随分と多くなった。

また、本連載でも近々ご紹介予定だが、ChatGPT等の生成AIをうまく活用した仕事術本の中でも、必読本が増えてきた。何事も常に改善、そして自己研鑽が必要である。文明の利器を有効活用しながら、自分の生産性を高めていくことはもちろん重要である。

一方で、創出できた時間をどう有効活用していくかというテーマも相変わらず大きな課題である。そこで今回は、書店で見て即購入した1冊をご紹介したい。その名も『人生が劇的に変わる「瞬読式」時間術』。著者は山中恵美子氏である。

株式会社瞬読の代表取締役であり、子どもの能力開発のために始めた「瞬読」とよばれる独自の読書法が評判をよび、ビジネスパーソン向けに書かれた「瞬読」シリーズはベストセラーとなっている。

「瞬読」と「時間術」の組み合わせ……、そして1日のルーティン業務を基本的に午前中で終わらせている山中氏の考え方はやはり興味深い内容であった。

本書の構成

本書は全5章で構成されており、トータルで35もの手法が書かれている。

第1章:ゼロ秒で答えを出す!「瞬読思考」

冒頭のフレーズは「私の考える「時間の使い方が上手な人」は24時間を楽しく幸せな時間で埋め尽くせる人です。」から始まる。最初から、自分自身の課題感が頭にポンポンと浮かんでくる。

本章では、時間を味方につけるための考え方が随所で披露されている。直感力を鍛える方法、全体を俯瞰することの重要性等々、私自身ずっと大切にしてきた考え方を山中氏も書いておられてうれしく思う。

と同時に、自分ができていないこともお披露目されており、既に本がマーカーでカラフルになっている(最終的にマーカーだらけになったことも素直に告白しておきたい)。朝から夜まで仕事の時間はたっぷりある、という考え方そのものを見直さざるを得ないと痛感させられる。

第2章:「時間泥棒」の罠にはまるな!

この章では特に、11「相乗効果を生むマルチタスク」そして、14「人よりも3倍速く行動すると決めると、自動的に迷いはなくなる」が特に刺さった。早速チャレンジしていきたい。

第3章:必要ない仕事に「時間」をかけない

「15分集中、2分休憩」……諸説あるものの、「時間の長さの感覚」を刻むことの重要性を改めて感じる。15分の重要性を再認識していきたい。

第4章:ムダを捨て、本当にやりたいことに集中する

この章もいずれも興味深いのだが、「初対面の人と最速で親しくなる方法」は是非ご確認いただきたい。仕事のみならず、未来のライフスタイル創造にもつながる考え方が紹介されている。

第5章:あなたの大切な「自分の時間」を見直すワーク

本章のアドバイスに沿って、例えば、1日の行動のすべてを書き出してみると…確かに意外に削れる時間は多いことに改めて気づく……。

落ち込んだ時にはガッツポーズ。なるほど、さあトライしてみよう(詳しくは本書にて)

「瞬読」×「時間術」、多くの世代の皆様に是非お読みいただきたい1冊

本書は、以下のような項目を意識しながら読み進めた。

  1. 「瞬読」と「時間術」をどう組み合わせていくのかを探求する
  2. 時間術フリークとしては、すべての手法を自分に落とし込むべく「努力」する
  3. 何がこれまでできていなかったのかを改めて検証する
  4. なぜできなかったのかを振り返りながら、これからの成長の糧とすべく考える

本書を読んで改めて感じたことは、こうした本を読むことの重要性である。

何を当たり前のことを……と言われるかもしれないが、「本を読まないから(手法を学べず)忙しいままになる」というのは真理をついている。
本作は著者の初めての本ということだが、楽しく読ませていただいた。

本書に書かれている手法を学び、実践すれば、大きな効果が得られるであろう。本稿ではごく一部しか紹介できていないが、多くの手法が紹介されているので、少しずつでも取り入れていけば、「連鎖の効果」を実感できると思う。若いビジネスパーソンにはもちろんのこと、ベテランにとっても学びが多い。

さらにご関心のある方は、著者による『1冊3分で読めて、99%忘れない読書術 瞬読』(SBクリエイティブ)も併せて読んでみてはいかがであろうか。(今回ご紹介書籍の巻末付録に、瞬読トレーニング手法の紹介も付いている)

自分の時間の使い方に課題感を感じている方(きっと多くのビジネスパーソンにあてはまる)、すべてにお勧めしておきたいそんな1冊である。

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