今週の“読まぬは損”

第024回『アナログの逆襲「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる』

菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー

菊池健司氏

読書の鬼・菊池健司氏イチオシ 今週の"読まぬは損"
1日1冊の読書を30年以上続けているというマーケティング・データ・バンク(MDB)の菊池健司氏。 「これからの人事・人材開発担当者はビジネスのトレンドを把握しておくべき」と考える菊池氏が、読者の皆様にお勧めしたい書籍を紹介します。

2019年のスタートにあたり

2019年はおそらく「ターニングポイント」の1年となる。春先の元号の変更、消費税増税、参議院選挙等々、政治・経済・社会に影響を与える大きな「変更」が目白押しの1年となる。

東京オリンピック・パラリンピックの1年前でもあり、否が応でも気分の高揚感を感じる年にもなるのだろう。もちろん、働き方改革関連法案に伴う2019年4月からの残業上限規制新ルール適用も読者の皆様にとっては大変なトピックである。

かつての金融恐慌、バブル崩壊等々、元号が変わる前後で必ず何かが起こるというのは日本の近代史において、よく言われていることである。さあ、今年はどうなるのか。注意深く、世の中の変化を捉えながら見守っていきたいと考えている。

ちなみに、日本の歴史上、これまで247もの元号が使われており、最も多く使われた漢字は「永」である(29回使用)。秘密裡に進められている新元号の検討は、果たしてどのような名前で登場するのか。4月1日には公表予定なので、あと約3カ月楽しみに待つこととしよう。

のっけからややホラーストーリー的なお話になってしまったが、2019年も「明るいビジネス展開」そして「人材戦略」に役立つ書籍をご紹介していくので、どうかお付き合い願いたい。

アナログの重要性を理解している企業が勝つ!

ということで、新年最初の1冊は、これからのビジネスを考える上で、絶対に読んでおきたい1冊を自信を持ってお勧めしておく。

本書は、なぜいまアナログなモノや発想が世界中で再注目され、ヒットしているのか?にフォーカスした1冊であり、身近な事例が多いため、純粋に読み物としても楽しめる。

第1章から8章までは、いずれも「逆襲」という標題が使われている。「レコードの逆襲」「紙の逆襲」「フィルムの逆襲」「リアル店舗の逆襲」といった具合に、つい衰退トレンドだと考えてしまいがちな業界や製品の世界において、いかにアナログが復活しているかを詳しく解説している。

本書を読んでいると、他にも「アナログの逆襲」の恩恵に預かることができる業界はいろいろとありそうだ。よければ考えてみて欲しい。

そして、世の若者は「デジタルネイティブ」と捉えられがちだが、実は「リアルなモノや体験」が大好きだということもわかる。私は常日頃から自分のクライアントに対し、「今起こっている事象と反対側にある世界を見ておくことが、他社が気づかない世の中の変化を読み解く何かを得るヒントになる」と言い続けてきた。もちろんアナログの復活もその1つであり、まさにわが意を得たりという思いである。

GAFAもアナログを重視

  1. アナログ思考がこれからの時代、いかに他の業界でも応用できるかを考える
  2. 豊富な事例から、何が起こっているかの深層について行間を読み解きながら探る
  3. 今を時めくGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)をはじめとしたデジタル企業がどれほどアナログ思考を大切にしているかを学ぶ

この3点が、私が本書を読み進めるうえで意識していたことである。

第9章(最終章)の「デジタルの先端にあるアナログ」は、「へぇ~」というエピソードが満載である。驚かされるのは、例えばFacebookは2010年以降、「アナログ・リサーチ・ラボラトリー」というチームを社内に作っており、アナログの温かみを重視するスタンスを取っているということ。世界を席巻するデジタルの申し子ともいうべき企業が、アナログを随分前から重視しているのは面白い傾向だと思う。

同部は、リサーチをしまくるというより、社内のプロジェクトを盛り上げるためのポスター制作や社員の創造性の刺激にアナログ的なスパイスを加えるという役割を担っているようだ。組織作りのヒントにもなろう。

ちなみに、本書では「デジタル業界ほどアナログを重んじる業界はない」とまで論破している。400ページ近い分厚いボリュームだが、ご所属の業種、業界に関わらず、お役に立つのではないかと思う。

この「ニューヨークタイムズトップ10BOOK 2016」にも選ばれた良書は、できれば原書で出た時にすぐに読んでおきたかったというのが本音だが、今からでも遅くはない。多くの皆様が「アナログの重要性」を学んでくださることを期待している。

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