時間軸と想像力を失わずマクロの視点で世界を捉えるリーダーに 出口治明氏 立命館アジア太平洋大学 学長特命補佐/名誉教授
出口治明氏
稀代の読書家であり「現代の知の巨人」ともいわれる、ライフネット生命保険創業者でアジア太平洋大学前学長の出口治明氏。
5年前に脳出血を発症したが、リハビリを続け現在は学長特命補佐として学務を続ける。
出口氏は混沌とする日本の将来をどう考えているのか。
日本をけん引するリーダーに求められる能力とは何か。
筆談も交えながら、 真剣に語ってくれた。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=山下裕之

まずは閣僚の男女比率を50:50のイーブンに
―― 2021年1月に脳出血を発症。右半身麻痺と失語症が残ったものの、リハビリを続けて約1年後にはお仕事に復帰されています。現在の体調はいかがですか。
出口治明氏(以下、敬称略)
23年の12月に立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を退任した今も、APU学長特命補佐・名誉教授として東京キャンパスで学務についています。出勤するのは月水金。東京キャンパスでは、大抵来客があって人に会います。今日はこのインタビューの前に、開学25周年を迎えるAPU校友会向けにボードにメッセージを書いたり、「おめでとう」と話す動画を撮影しました。
―― 1週間のうち、残りの4日はどうお過ごしですか。
出口
リハビリを一生懸命やっています。麻痺や失語症はまだありますが、訓練して右利きの僕が左手で文字を書けるようになりました。今日も発話が難しいときはスケッチブックに書いて説明しますね。リハビリ以外の時間は、だいたい本や雑誌の執筆をしています。
―― 本日はリーダー論がテーマです。まず、現在の日本が直面する課題をどのように捉えていますか。

出口
もし僕が日本の総理になったら、最初に閣僚の男女比率を50対50のイーブンにします。25年10月に高市内閣が発足しましたが、女性閣僚は高市総理を除いてたった2人でしょう。総理が女性になっても、これではおかしい。女性閣僚が半分になれば、次は自分かもしれないと他の女性議員が準備するので全体が底上げされていきます。
それから現在、日本は一人当たり名目GDPが世界38位です。G7では最下位で、アジアでも韓国や台湾に抜かれています。いまや日本は貧しい国です。これが30位、25位と上がっていくのか、それとも40位、45位と下がっていくのか。これは重要な問題です。僕はせめて元の位置に戻るように、上がっていくイメージを持ちたいです。
―― 進まない女性活躍や貧困の進行といった国難を克服するために、リーダーには何が求められるでしょうか。
出口
まずは想像力です。リーダーは、目の前のことだけうまくマネジメントしても意味がありません。今言ったように、これから先、日本は上がっていくのか下がっていくのかを想像してビジョンを描き、どのような戦略で望む未来を実現していくのか。その構想をするのがリーダーの大事な役割です。

