リーダーに必要なのは「変革意欲」と「やり切る実行力」 小林俊一氏 東急リバブル 代表取締役社長
小林俊一氏
1972年の創業以来、不動産流通業界のパイオニアとして様々な事業を創出してきた東急リバブルは、 2023年度に初めて売買仲介取扱高で業界トップの座に躍り出た。
2025年4月、同社初の生え抜きとして社長の座に就いた小林俊一氏は、躍進の理由のひとつに「人材の成長と定着」を挙げる。
同社ではどのように人材の成長を支えているのか。
求める人材像やリーダー像についても話を聞いた。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=山下裕之

新たな挑戦と出店攻勢により業界のトップブランドを目指す
―― 24年度の営業収益は2,413億円と業績好調です。要因は何でしょうか。
小林俊一氏(以下、敬称略)
十数年前は不動産流通業界で私たちはダントツの3位でした。みんなそこが定位置だと思い込んでいましたが、当時の社長が「トップブランドを目指す」と宣言。最初は「無理でしょう」という雰囲気が社内を覆っていましたが、新しいことに投資をすることで、その雰囲気も変わってきました。
かつては、仲介会社が引き渡し後の建物の不具合を保証することはありませんでしたが、当社はお客様目線で考えてこのサービスをスタート。今では業界標準のサービスになっています。こういった挑戦によって本気でトップブランドを目指す土壌ができていったのです。
直近でお話しすると、積極的に出店していることも大きいです。出店攻勢ができた背景には、人材の成長・定着があります。出店には管理職の役割を担うことができる人材が必要不可欠。人材の流動性が高い業界できちんと人を育てられるようになったことが今の勢いを支えています。
―― 業界内でのポジションに変化があった現在、どのような成長戦略を描いていますか。
小林
私たちが目指すのは「お客様評価」「事業競争力」「働きがい」の3つの業界No.1。どうなればトップブランドといえるのかのイメージはあります。
競合他社の多くは仲介専業ですが、私たちは不動産開発事業や買取再販事業など幅広く事業を展開しています。これらの部門間の壁を取り払い、川上で得た情報、そして人を流動化させれば、この優位性をさらに活かせるようになるでしょう。
たとえば、売買仲介部門に売却のご相談にいらしたお客様に、「等価交換事業」をご提案するのも事業領域の広い当社ならではの提案の選択肢となります。お客様のニーズに対して仲介以外の最適解をスムーズにご提案できるようになれば、おのずとトップブランドの姿が見えてくるはずです。

