第41回 ビジネスパーソンにとって重要な「行動力」について考えてみる 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー

経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
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2025年度も激動の幕開け
2025年度が始まり、早くも1カ月以上が経過した。米トランプ大統領による「関税ショック」に世界が翻弄されているなか、皆さんはどのような春を迎えているだろうか。
トランプ氏の政策に対し、賛否両論あることは重々承知しているが、世界を代表するリーダーが、自国優位のために、「世界を動かしている」のは紛れもない現実だ。各国の政府・企業も対策を立てながら、今後の行方を虎視眈々と見守っている。
トランプ氏を見ていて改めて思うのは、「行動力」の重要性だ。“アグレッシブに動くこと”で、世界のイニシアティブを握っている。
一方、世界の首脳や知の巨匠たちを見ていると、冷静にトランプ氏の思考回路や次のアクションを探っているようにも見える。そこからは「観察」することの重要性も感じる。
仕事柄、世界の急成長企業ランキングデータに目を通すことが多いが、上位企業のCEOインタビューなどを見ると、やはり「行動力」と「観察眼」の鋭さが浮かび上がってくる。
「仮説」を立て「行動」を通じて「検証」する。そのためには「場数」を踏むことが重要だ。また、「行動」のためには「観察眼」も欠かせない。「観察眼」を高めるには、自分のバイアスを外すことも重要である。
「自分らしく」を大切にしていきたい
だからこそ、「自分の業界は特殊だから」という言葉はいずれ禁句となるだろう。先行き不透明な時代には、柔軟に世の流れに対応していく力が必要となる。生成AI時代の到来は、その試金石という見方もできる。
今回のキーワードは「行動力」であり、「観察眼」なのだが、そこに「自分らしさ」もぜひ加えておきたい。