Vol.9 ツナグ!HR若手研究者の輪 平本 奈央子氏 国士舘大学 経営学部 経営学科 講師
平本 奈央子氏
次世代の HR 分野を担う若手研究者たち。研究者を志したきっかけ、現在の関心事、そして研究の先に見据えるのはどんな社会なのだろう。
インタビューを通して、研究者たちのアタマのなかを少しのぞいてみよう。
[取材]=稲垣 飛カ里 [文]=菊池壯太 [写真]=山下裕之
「普通の」ビジネスパーソンからのキャリアチェンジ
―― 民間企業からキャリアチェンジされたきっかけは?
平本奈央子氏(以下、敬称略)
私は人事や研究職ではなく、いわゆる「普通の」現場の出身です。現場で働くなかで感じた2つの問題意識が、私を研究の道へと進ませました。
私がいた金融業界では、当時、男性は全国転勤がある総合職として、女性は転勤のない一般職として採用され、ある程度キャリアを積んだら退職していくというケースが一般的でした。総合職を選ぶ女性の多くは、バリバリ仕事をして、全国転勤もして、プライベートを犠牲にするという覚悟を決めた方でした。ただ一部では、男性総合職が担ってきた仕事を、女性一般職にも任せていこうという動きが始まり、成果を上げ始めたのです。
一方、当時の総合職の上司たちの多くは、彼女たちの思いや働き方を理解しえないような気がしました。このような溝が生まれるのはなぜか。また、なぜ優秀な一般職の人材が活躍できるような経営判断をしないのか。その原因に雇用システムが強く関係していると感じたのです。それを解明して経営の力で変えることはできないかと思い、入社8年目に思い切って退職し、ビジネススクールに学びに行きました。