連載 Report from MPOD, Case Western Reserve University 「強み」に注目した、最先端の「組織開発」の現場より第6 回 『EQ リーダシップ』の著者 リチャード・ボヤティス教授の登場(前編)

2004年11月からスタートしたMPOD(=Master of Positive Organizational Development and Change)一期生のコースも、いよいよ折り返し地点に差し掛かった。今号では、同大学の名物教授の一人で、CLEADクラスの担当教官、リチャード・ボヤティス氏の講義の一部を紹介しよう。『EQ~心の知能指数』の著者ダニエル・ゴールマン氏と共著の『EQリーダーシップ』は日本でもベストセラーとなった。ピーター・サロベイ氏と並び、E I(Emotional Intelligence)の大家として知られる一人である。
ボヤティス教授、登場!

MPODの講義が左脳系と右脳系の絶妙なバランスによりプログラムされていることは既にお伝えしてきた。従来の米国MBAプログラムは左脳重視で、「IQ は高いけれど、EQ には改善の余地がある人材を輩出してきた」という反省が込められているのだ。
そこで、マイケル・ポーターの経営戦略、ジョン・コッターの組織変革論など、MBAと同様のマネジメント理論が超スピードで提供される傍らで、右脳系履修科目も並行して開講されているのが、MPODの大きな特徴の一つだ。その代表が、クーパーライダー教授のAI(Appreciative Inquiry)であり、ボヤティス教授のEIというわけだ。日本では、EQという用語が一般的だが、これはEmotional Intelligence Quotientの短縮型。米国では、むしろE I の方が広く使われている。

通常のクラスでは、教授陣がパワーポイントで授業概要の解説からスタートするが、ボヤティス氏は登場からセンセーショナルであった。自らラジカセを持参し、アップテンポのリズムの曲で、手拍子でリズムを取りながら、クラスのムードを高め、学生の緊張を解いていく。休憩時間は、時に静かなメロディーにより癒しの時間を演出する。感性を重視する教授法の面目躍如というところだ。