おわりに 副業推進は何のため、誰のためにあるか
チキタカ(tiquitaca)/ PIXTA(ピクスタ)
副業、解禁していますか?
働き方改革やコロナ禍における働き方の変化を受け、副業解禁に踏み切る企業は実際に増えている。数値は各種調査によって異なるが、軒並み増加傾向であることは間違いない。一方、副業実施率はどうか。OPINION1で紹介した総務省の「家計調査」を基にした計算では、新型コロナの収束以降は横ばいで推移しているという。
制度は導入したものの、社員が活発に行っている様子は見えない。社員は副業を本当は必要としていないのではないか? だとしたら「副業推進」とは何のため、誰のためのものなのだろう。特集を振り返りながら、いくつかの視点から考えてみたい。
何を動機に、何を目的に副業を行うか
まずは社員個人が副業を選択する際の視点や判断基準から見ていこう。
川上淳之氏(OPINION1)は、副業を以下のように分類した。
・プッシュ型:賃金の不足など、外的要因からやらざるを得ない副業
・プル型:自分自身のために前向きにチャレンジする副業
また、プル型といえる副業の在り方として、長岡健氏(OPINION3)は、経済合理性を高めるための副業だけではなく、成果よりもプロセスを大切にしながら学んでいく「脱手段化した学習観」を目指している副業者の可能性も示唆する。試行錯誤のプロセスを楽しみ、多様な経験を通して自分自身を変えていくような行動=アマチュアリズム的副業という在り方だ。