Vol.7 ツナグ!HR若手研究者の輪 横内陳正氏 東京大学 社会科学研究所 附属社会調査・データアーカイブ研究センター 特任准教授
横内陳正氏
次世代のHR分野を担う若手研究者たち。
研究者を志したきっかけ、現在の関心事、そして研究の先に見据えるのはどんな社会なのだろう。
インタビューを通して、研究者たちのアタマのなかを少しのぞいてみよう。
[取材・文]=稲垣 飛カ里 [写真]=山下裕之
職場の心理社会的要因が働く人に与える影響
―― ご専門分野をご紹介ください。
横内陳正氏(以下、敬称略)
私が専門にしているのは産業保健とよばれる分野になります。特に職場の「心理社会的要因」が働く人の健康や仕事のパフォーマンス、キャリアにどのように影響するかをこれまで研究してきました。心理社会的要因というのは、あまり馴染みがないかもしれませんが、「心理的要因」と「社会的要因」の2つを含んだ概念です。心理的要因とは、個人の性格特性や価値観、出来事の捉え方などを指し、社会的要因は、個人を取り巻く社会ネットワークやソーシャルサポート、経済状況などを指します。私はそのなかでも職場に関すること、つまり、仕事の特性や組織風土、またそれらの捉え方に着目しています。
もとは工学部で、土木インフラのマネジメントを扱う研究室に属していました。建築業界の様々な問題を扱うなかで、働き方や健康の問題に出会ったときに面白さを感じ、もっと詳しく研究してみたいと医学系の研究室に入り直したんです。当時、建設業は「3K職場(きつい、汚い、危険)」と表現されてしまうこともあるような業界でしたからね。