経営学習研究所 ―ラーニングバー2023― 経営に貢献する「組織開発」の実践!株式会社デンソーの取り組みに学ぶ!
2023年11月26日、経営学習研究所主催のイベント「【帰ってきたラーニングバー2023】経営に貢献する「組織開発」の実践! 株式会社デンソーの取り組みに学ぶ!」が開催されました(共催:Cross× Camp コクヨ株式会社・株式会社セルム)。
自動車部品メーカーのデンソーが取り組む、経営改革に資する組織開発の事例。
これをもとに、参加者同士で対話し、気づきを得る場となりました。
本稿では、その内容やイベントの様子を抜粋しお届けします。
[取材・文]=長岡萌以 [写真]=山下裕之
語り、気づく、学びの場
2023年11月26日、経営学習研究所(以下、MALL)主催のイベント「ラーニングバー」の参加者約130名が、コクヨが運営する「THE CAMPUS」(東京・品川)に集まりました。日曜日のお昼時にもかかわらず、開場の段階から多くの人々で賑わっています。
ラーニングバーとは「組織学習・組織人材の最先端の話題をあつかう研究者と実務家のための研究会」として14年前に実践されていたイベントです。「学んだ後」に懇親会を行う一般的なセミナーと違い、ラーニングバーでは事前に飲食が提供されます(ドリンク提供:サッポロビール株式会社)。飲食を共にしながら、リラックスした雰囲気のなか、いろいろな人と出会い、語り合うことができる学びの場。講演の開始前から、ビールを片手に多くの方が歓談し、オフィスとは違うコミュニケーションが生まれていました。
前段の挨拶として、MALL理事であり立教大学教授の中原淳氏が登場。ラーニングバーの主旨として、「①聞く ②考える ③対話する ④気づく⇒学ぶ」という前提を紹介。ただ講演を一方的に聞いて終わりではなく、周囲の方と対話するプロセスで学びを得ることがこのイベントの目的です。そして、本題である「組織開発」の課題について解説します。
「テレワーク等の影響もあり、組織の遠心力が高まった結果、一体感やエンゲージメントが下がったり、貢献したい気持ちが下がったりするといったことが起きています。ですから、バラバラな人たちがチームとして集まり、成果を上げ目標を達成しようという方向に持って行く組織開発が重要なんですよね。一方で、仲良くなりコミュニケーションが活性化する、組織が変わるといったことも大切ですが、それだけでは駄目なんです」
組織開発の肝要は「経営・現場にインパクトを残すこと」だと中原氏。では、組織は変わるもインパクトを残せない状態―― 「組織開発温泉」に陥らないためにはどうすればいいのでしょうか。
そのための取り組みとして、株式会社デンソーの原雄介氏(執行幹部 総務人事本部人事企画部・人事部担当)と、中川浩人氏(人事部人財・組織開発室人財・組織開発1課キャリアエキスパート)が、「経営と全社」「現場実践」それぞれの面から事例紹介を行いました。以下、その講演の一部を紹介します。
講演①デンソーの組織開発―― 経営と全社編――
まずは原雄介氏による、「経営と全社編」の講演です。「なぜ経営にとって組織開発は重要なのか」という前提をお話しされました。
「経営にとって、組織開発を通じた組織文化・風土の醸成は、働く人の幸せと会社のビジョン・ミッション・バリュー達成の両立につながり、社会的インパクトに通じる。私は組織開発をそう捉えています」
一方で、組織開発を「終わりなき山登り」に例える原氏。組織文化の醸成に関わる以上、やめてしまえば風土は悪化し、それは仕事の品質、ひいては会社の存続にまで影響を及ぼします。継続が必要な組織開発を、同社はどのように進めているのでしょうか。