第26回 料理に腕は必要ない 誰でも作れるおいしさへの最短距離 リュウジ氏 料理研究家
SNSに投稿される簡単で手軽なレシピが“バズレシピ”として人気の
料理研究家・リュウジさん。“バズり”を意識した投稿や、
従来の料理の基本にはまらないアプローチのレシピには大きな注目が集まっている。
独特なスタンスを確立した背景や、忙しいビジネスパーソンにもおすすめのレシピを聞いた。
[取材・文]=長岡萌以 [写真]=バズレシピ提供
料理研究家兼ビジネスパーソン
―― リュウジさんは、実はご自身で会社もお持ちだとか。
リュウジ氏(以下、敬称略)
僕が会社を起ち上げたなりゆきですか?でもね、そもそも僕が会社員だったころの話をすると、僕は向上心がないので、全然仕事ができなかったんですよ。必要のない仕事って自分が思っちゃうと、できなくなるんです。無駄な作業って結構あるじゃないですか。それでつい、これって意味ありますか?と言ってしまうんで、評価は最低でした(笑)。ですが料理をTwitterに載せていたらフォロワーが増えて、本を出しませんかと声がかかるようになったんです。そこで料理研究家を名乗り始めたら仕事が来るようになったので、自分の会社をつくりました。
―― 事務所に所属するという道もあったのでは?
リュウジ
ありましたよ。実際に、あるYouTuberの事務所からオファーも頂きました。ただ、僕の稼いだお金から20%とらせてくれというんですよ。もちろん、YouTubeでの活動をマネジメントしてもらうのであれば当然だと思いました。ですが、それ以外の書籍の売り上げ等に関してもそうだというんですよ。本やテレビの仕事は僕がいままで培ってきた技術の結果なので、それをお渡しするのはどうかと思ってしまって。僕は、交渉も営業もできるから自分でやろうと。
でも、事務所というものも必要だと思っています。料理研究家さんは本来、自分のマネジメントや営業はしなくてもいいじゃないですか。それができなくても、料理に専念していれば料理研究家として成立します。僕はできるから、自分で両方やっているだけなんです。
―― リュウジさんは料理研究家でありビジネスパーソンなんですね。
リュウジ
僕はね、ゲームが大好きなんですよ。この取材の前もやっていたんですけど(笑)。ゲームをこれだけやっていたから経営もできているんだと思っています。昔、遊園地をつくるゲームにハマったんですが、たとえば、「道を綺麗にしておかないと清潔度が落ちて、パークの評判も下がり、引いては人が来なくなる」とか、設定が結構細かかったんです。そのゲームでの経験が今も活きているんだと思います。ただ、こういう仕事は先輩もいませんから、最初はめちゃくちゃ手探りでした。
“バズる”仕掛けと料理の実力
―― “バズレシピ”という発想は前例がないですよね。レシピを考えるときに意識していることはありますか。
リュウジ
やっぱり、バズるかどうかですよね(笑)。基本的には見栄えがいいものにしますし、大げさなタイトルをつけるようにしています。これは、わざとなんです。だって、画像とか動画を見てもおいしいかどうかわかりませんよね。だから、言葉で誘わなきゃいけない。