第22回 「つながらない権利」の重要性
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「つながらない権利」の重要性
コロナ禍で常態化しつつあるテレワークでは、働く場所が主に在宅となることから、「仕事とプライベートの線引き」や「業務時間外」といった概念が曖昧になりがちです。また、常時リモート接続している環境下では、長時間労働を誘発しやすいことから「つながらない権利」の重要性に注目が集まっています。
01 「いつでもどこでも仕事ができる」時代だからこそ必要な権利
「つながらない権利」とは、勤務時間外において、業務に関連する連絡等の「仕事からの『侵食』」を遮断する権利を意味する。すでに立法化がされたフランスでは、「つながらない権利」の存在を確認したうえで、これを実効的なものとするための取り組みを労使に求めている。
本来、勤務時間外は業務に対応する義務はない。しかし、ICTの発達により、職場外でも労働者と仕事のアクセスが容易に可能となり、「いつでもどこでも仕事ができる」結果、仕事と私生活の境界が曖昧化している。こうした時代だからこそ、労働者が働きすぎてしまうことを防止し、ON-OFFのメリハリにより能率化するためにも、「つながらない権利」の確保は重要となる。
日本においても、各企業が「つながらない権利」の必要性と、その確保に取り組む方針を内外に明確化し、理解を求めること、そして、画一的な規制にこだわることなく、各業種、企業、職種の実情に応じた仕組みを作ることが今後求められよう。政策的にも、一律の規制といった形ではなく、企業現場の実情に応じた取り組みを促進する方策が求められる。
細川 良氏
青山学院大学 法学部 教授