気づきのトピックス イベントレポート 富士通「FUJITSU Learning Festival 2021」イベントの舞台裏 伊藤正幸氏 富士通 Employee Success本部 Engagement&Growth統括部 組織開発部長、他
富士通は2021年6月7日より5日間、自律的に学ぶ意識の醸成を目的とした、「FUJITSU Learning Festival 2021」というオンラインイベントを開催した。
どのようにイベントを組み立てていったのか。また、運営面で感じた難しさや今後の課題は何か。グローバルを巻き込んだ大規模オンラインイベントの舞台裏に迫った。
2020年にジョブ型への転換を打ち出し、育成も含めた人材マネジメントのフルモデルチェンジを図った富士通。社員一人ひとりが自分でキャリアをデザインし、学べるしくみについての詳細は同社へ取材を行った記事「社員一人ひとりの自律的な学びなくしてジョブ型は成り立たない」(2021年3-4月号掲載)に譲るが、その取材のなかで今回の “ラーニングフェス”の構想を聞いた。
正式には「FUJITSU Learning Fes-tival 2021」と題されたこのイベントは6月7日から5日間にわたり、グローバル含む13万人の社員とその家族に向けて開催された。「私たちは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていきます。」をパーパスに定める富士通にとって、グローバルを含めた社員全員が共通の目線で語れるテーマとして“SDGs”をメインテーマに選んだ。とはいえ、「きっちりかっちりやってもつまらないですよね」と本イベントの指揮を執ったEmployee Success本部 Engagement&Growth統括部組織開発部長の伊藤正幸氏は語る。全社を巻き込んだ大規模なこのイベントは、伊藤氏を含む3名を中心に最少人数にて実行された。
「もちろん、一つひとつのコンテンツには様々な社員がかかわっています。しかし、イベントのコンセプトや世界観は最小限の人数で固めました。多くの目に触れるほど企画は丸くなってしまう。尖った企画でないと誰も参加してくれませんから」(伊藤正幸氏、以下伊藤氏)
「参加してもらうこと」が第一目標
自律的に学ぶ意識をどう醸成し、腹落ちさせるか。今回のイベントをそのきっかけとするために多くの社員に参加してもらいたい。そこで、一番時間をかけて議論したのが「YOUR QUESTIONS for OUR ACTIONS.」というコンセプトを起点とする“、思わず参加したくなる”世界観をいかに表現するかであったという(図1)
富士通13万人の多様性、そしてナレッジの積み重ねの上に自分たちが立っている――イベント会場となった特設サイトは、まさにその世界観を表現したシンボリックなコンセプトムービー(図2)から始まる。サイトのセッション数を「OUR POWER」として表し、一定の数に至るとサイト上で花火があがる。参加者への事前アンケートの回答を、「社歴」「SDGsのなかで関心があるテーマ」「学びとは何か」といったそれぞれの項目ごとにグラフィカルに見せた(図3)。
企画・体験設計から表現までを手掛けたのは、「ライゾマティクスデザイン」が前身となるデザイン集団「フロウプラトウ」によるものだ。
通常、このようなWebサイトを含めた富士通の制作物には世界中の誰もが等しく利用できるようにユニバーサルデザインを適応するのが決まりとなっている。だが、このイベントに限りあえてその規定からはみ出した。「本部長や役員に説明したときに『やりすぎだ!』と怒られるか、『それ面白いな!』と前のめりになる、そのどちらかにしたかったのです」と伊藤氏は笑う。