おわりに,オンライン研修,インストラクショナルデザイン 「学び」はどこへ向かうのか
研修を超えた「学び」の設計へ
コロナ禍以降、本誌でも時流に合わせ、テレワーク環境でも有効なマネジメントや教育についての情報発信を行ってきた。今号でもその主旨は変わらず、オンラインを含めた「研修設計=インストラクショナルデザイン(ID)」をテーマとし、取材を開始したのだが―そのなかで、印象的な場面があった。それが、向後千春氏(OPINION1)の「IDの20世紀モデルからの脱却」である。
向後氏は、「ロケットモデル」という20世紀におけるIDの到達点を紹介したうえで、「研修だけで閉じてしまう研修はもう機能しない」と語ってくれた。
では、20世紀モデルから脱却した先にはどのような学びがあるのか。また、学びを実践する「現場」の変化は、社内教育の設計にどんな影響を与えるのか。ニューノーマル時代に求められる「研修にとどまらない学びの設計」―シン・ラーニングデザインのヒントとなる視点を、共に考えていこう。
ヒント①「リアルタイム」と「オンデマンド」
オンラインと対面をどう組み合わせていくべきか。対面一辺倒には戻らないと私たちが自覚したときから考え始めたテーマだが、重要なのは「オンライン」と「対面」ではなく、「オンデマンド」と「リアルタイム」の切り口であると語るのは、鈴木克明氏(OPINION3)だ。これまで研修を教育手法の主軸と考えてきた人にとって、「手厚い研修は受け身の人間を育てることにつながる」という点は、耳が痛いのではないだろうか。今後は、受講者の自律性を高めるオンデマンドを中心に組み立て、リアルタイムは発表や共有の場としての限定的な使用が望ましいという。
OPINION2の中村文子氏も「同期」「非同期」という言葉を用いて、使い分けの重要性を説く。さらに中村氏は、適切な時間配分やツール活用方法についても教えてくれた。限られた研修時間で教育効果を高めるためにも、投票機能やスタンプ、カメラのオンオフを使い分けるといった、工夫を取り入れてみよう。