第16回 ビジネスという競技がいつの間にか変化している時代に 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
読書は癒し、そして瞑想
2021年2月4日のThe Wall StreetJournalに興味深い記事が掲載されていた。「コロナ禍の読書、癒し効果一段と重要に~気晴らし効果以外にネガティブ思考阻止も〜」というタイトルである。ぜひご一読いただきたいのだが「世界には今、非常に多くのノイズがあり、読書という行為はまさに瞑想の一種だ」というフレーズは、個人的にとてもしびれた。ストレス過多の現代において「無心」の時間をつくることが重要なのだ。
私自身、いつでも読書ができるように、近年は電子書籍で購入することが多いのだが、「これは!」と感じた本は必ず紙の書籍も購入するようにしている。ちなみに出版予定を見てピンときた本は、必ず書店に行って、どのように陳列され、売り出されているのかを見てから買うようにしている。
パソコンやスマホをいったん視界から外し、本を広げる。“行間を味わいながら、無心で対峙する”、これがいつしか至福のひと時となっていくはずだ。
競技の変化は果たして……
最近、顧客とよく「競技の変化」というテーマで意見交換をしている。たとえば、優れたテクノロジーを有した企業が特定の業界に入り、業界の在り方そのものを変えてしまう。そういった事象はコロナ禍に紛れ、すでに随所で見受けられる。
ノマドワーカーとして名高い本田直之氏の『パーソナル・トランスフォーメーション』(KADOKAWA/前号でもご紹介)の冒頭でFrancfrancの髙島郁夫社長のインタビューコメントが掲載されている。
「コロナ前後で競技種目が変化している。足が速ければ野球でもサッカーでも通用するが、ピッチャーやバッターはサッカーでは通用しない。まずはスポーツ万能になることが、種目が変わってもアジャストできるセンスにつながる」
この思考を、ビジネスに置き換えて考えることが重要だ。いつの間にか競技が変わっている、という事象は今後様々な業界で起こるはずだ。その予兆を感じとる能力こそがこれから重宝されるに違いない。自分の活躍領域を広げていくために、さらに学びを深めていくために、書籍の観点から、以下のジャンルをおすすめする。
①自ら学ぶ手法を会得できる書籍