第26回 知っておきたい!「水平線の知識」俯瞰力を高めるために 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー
経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
「水平線の知識」で、多ジャンルの情報をキャッチ
社会情勢の変化や予期せぬ出来事の連続で「迷いの時代」だと感じながら、“今”何を学ぶべきかを悩んでいるビジネスパーソンは多いのではないだろうか。語学や経営知識、財務知識にしてもバランスよく学ぶことが一番だが、なかなか簡単にはいかないというのが実情だ。人事担当者の方々からは「今、どのスキルが重要だと思うか?」という相談を受けることも少なくない。
経済産業省発表の「未来人材ビジョン※」では、「意識・行動面を含めた仕事に必要な能力等」は56項目から成るとしている。2015年当時は「注意深さ・ミスがないこと」「責任感・まじめさ」がもっとも求められていたが、2050年には「問題発見力」「的確な予測」「革新性」といった能力が求められると予想されている。これはAI時代の到来を意識しての結果だと読み取れる。そのようななか、私たちは、「水平線の知識」を念頭に置いておく必要があるだろう。「水平線の知識」とは、自分の業界や市場に関する知識のみならず、
・異業種/他産業で何が起こっているのかを幅広く知る
・各世代のライフスタイルの変化を知る
・投資家の熱い支持(投資)を受けている国内外の有力スタートアップを知るなど、知識の領域を「横に大きく拡げていく」考え方を指す。産業が大きく変化していくこれからの時代において、知らない業界を減らしていく努力が必要だと考える。できるだけ多くの引き出しを持ち、様々な領域をクロスさせ、新たな発想が生まれることが望ましい時代になるはずだ。
ゆっくりでもいいから知識幅を拡げていきたい
「水平線の知識」の獲得においても、読書は私たちを助けてくれる。書籍は以下のタイプをおすすめしたい。
① 1冊で様々な業界や産業、技術の進化を俯瞰できる書籍