第15回 ジョブ型雇用は日本に浸透するか?
気になるテーマを気になるあの人はどう考える? オピニオンリーダーたちの意見をご紹介します!
ジョブ型雇用は日本に浸透するか?
コロナ禍でテレワークの導入が進むなか、従来のメンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用への移行を検討する企業が増えつつあります。
一方、情意考課などに大きく依存してきた日本の企業にジョブ型雇用はそぐわないとの意見も一部に根強く残っています。
01 「ジョブ型」という言葉にとらわれない労使が協調した体制づくりにも期待
大企業では、ジョブ型雇用の導入・対象者の拡大にともない、「労働時間ではなく、成果に応じた報酬体系」「生産性向上」「最適な人員配置と適材適所」など、各社一様に前向きな将来像を描いているようだ。しかし実際のところ「ジョブ型=成果主義」ではないし、「成績不良者は簡単にクビにできる」わけでもない。
ジョブ型を本当に目指すのであれば、ジョブディスクリプション(職務記述書)を整備し、評価や報酬制度など根本的なしくみの部分から見直し、新たな制度を浸透させていく地道な取り組みが必要である。また、労働を時間で管理し、能力不足でも簡単に解雇できない現行法や判例のうえでどう実現していくか、調整も必要だ。
現行の枠組みを維持しつつ、実質的なジョブ型を実現するためには、世の中全体で「横一線平等な処遇は無理なので、今後は格差のある働き方にするしかない」現実を受け容れなくてはならない。
「ジョブ型」という言葉にとらわれず、成果できちんと評価でき、世界で勝負できる優秀人材を適切に処遇できる体制を労使共に協調しつつ創り上げていけることを期待したい。