おわりに 「自律」した一人ひとりがつくる、ニューノーマルな組織を目指して
毎年12月に発表される今年1年の世相を表す「今年の漢字」。2020年の漢字は「密」だった。この漢字に表されるように、まさに新型コロナウイルス感染症対応に追われた1年だったのではないだろうか。
日本でも感染が広がり始めた2020年2月、急なリモートワーク整備に始まり、4月の入社式・新入社員研修では大きく方針を転換した企業も少なくないだろう。しかし、夏も中盤にさしかかったころ、「With / Afterコロナ」「ニューノーマル」という言葉を耳にするようになる。「危機を契機に」と、先駆けてジョブ型雇用導入を宣言し、注目を集める企業も現れた。
コロナ禍が私たちの働き方、価値観に与えた影響は不可逆的だ。いま、急速に仕事の在り方が「自律分散型」へと向かっている。そのなかで人事・人材開発担当者ができることは何か。本特集を振り返りながら考えてみたい。
自律性を尊重し、任せる
誰も予想だにしなかったコロナ禍をはじめ、気候変動、テクノロジーの進化、グローバリゼーションとビジネス環境の複雑化は今後もますます高まっていくだろう。
先が見えない状況において、計画に基づいて実行されるPDCAサイクルに代わり注目を集めているのがOODAループやOKRなどのマネジメントを速める方法である。なかでも「OODAループ」(P30)は、意思決定を現場に委ね、ミッションに基づいて「直観的に判断して行動し、そして修正していく」ことで、変化に強く、スピーディーな業務遂行を可能とする。ベンチャー企業に代表されるように、今後はOODAループを実践できる組織が強い組織となりそうだ。