第15回 2021年はリセットイヤー 勝負できる自分を創り上げていく 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 副本部長
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。
ビジネス書が好調だった2020年
2020年12月初旬のNHKニュースにて、ビジネス書の売れ行き好調の話題が取り上げられていた。ビジネス書籍紹介の連載を続けている者としては、うれしくかつ、ありがたいことなのだが、背景にコロナ禍があることを考えると少しばかり複雑な心境になる。
在宅勤務や外出自粛で増えた自由時間を自らの学びに充てようという意識の高まりや、リモートワークで人と直接会う機会が減るなか、コミュニケーションのとり方への関心の広がりなどが書籍の売り上げにつながったのだろう。リモートとリアルの使い分けが求められる時代において、コミュニケーション力が一段と重要視されるようになったことは間違いない。
日本出版販売による毎年恒例のビジネス単行本ベストセラーランキング2020年※によると、『人は話し方が9割』(永松茂久著)、『「繊細さん」の本』(武田友紀著)、『超一流の雑談力』(安田正著)がベスト10入りをしている。
ベストセラーランキングは時代の映し鏡だ。興味深く昨年のベストセラーを見ていたが、ビジネスパーソンの危機意識、不安感を払拭したいという意識が背後に見え隠れしている気がしてならない。現時点では終わりが見えないコロナとの戦いは当然不安要素が大きい。リモートワークでは個の力量が顕著に成果に現れるので、ごまかしが利かない。これからは働き方が劇的に変わっていくだろう。
書店に行くと、「複業・副業」「個人スキル」の本が増えている。書籍から学び、実践していくことで、どこに行っても勝負できる自分を創り上げねばならない。
2021年は極めて重要な年になる
1年1年が重要であることに変わりはないが、2021年は「リセットイヤー」で、特に重要な年になると考えている。ここでどれだけ頑張れるかで、その後の5年、10年に大きく影響していく。コロナ禍により企業が「経営計画」、「事業戦略」そして「人材戦略」を見直している。これまでの前提をいったん取り払い、世の中が大きく変わることを想起しながら、チャレンジする1年としなければならない。
それらを考えるうえで読んでおきたい書籍のジャンルをご紹介しよう。
①コミュニケーション関連書籍
②パーソナルスキル向上書籍