めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第23回 「デザイン思考」デザインをビジネスに活かす
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
2014年は、読みやすいビジネス書がよく売れた1年であった。一例として、『まんがでわかる7つの習慣』(フランクリン・コヴィー・ジャパン監修/宝島社)などビジネスの王道本を取っ付きやすくした本が挙げられる。あのベストセラーのコミック版、『ザ・ゴール』(エリヤフ・ゴールドラット、ジェフ・コックス著/ダイヤモンド社)が刊行されるなど、ビジネス書に馴染みのない読者層まで引き込む流れに拍車がかかっている。
また、心理学関連の本にも注目が集まった。代表例は『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健著/ダイヤモンド社)が挙げられよう。いつもながら、ビジネス書の売り上げ傾向を見ると、その時代の潮流を感じずにはいられない。
そして迎えた2015年。ぜひ注目しておきたいのは、「デザイン」というキーワードである。「DEO(デザイン・エグゼクティブ・オフィサー)」という言葉をご存じだろうか。「デザインするリーダー」という意味だ。今まさに求められているのはCEOではなくこのDEOであり、デザイン思考こそ問題解決に役立つという考え方である。
その新しいリーダー像を提示した書籍が『CEOからDEOへ』(マリア・ジュディース、クリストファー・アイアランド著/ビー・エヌ・エヌ新社)だ。DEOの特徴である「変化を起こす」「リスクを冒す」「システム思考をする」「直感力が高い」「社会的知性が高い」「さっさとやる」の6つを解説。さらにDEOの実例にカール・バス(オートデスク社CEO)や『フリー』『MAKERS』の著書で知られるクリス・アンダーソン(TEDカンファレンスキュレーター)らを紹介している。
思えば、スティーブ・ジョブズは、そのカリスマ性もさることながら、経営デザイン、製品デザインの両面で突出したセンスを兼ね備えているからこそ、世界中で支持されたのではないだろうか。
我が国もデザイン思考を意識しており、経済産業省が2014年7月に、「国際競争力強化のためのデザイン思考を活用した経営実態調査」※を公表している。成功企業事例も紹介されているので、ぜひご一読を。
では、デザイン関連書籍の傾向を整理しておこう。