めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第32回 成長する「思考法」
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
「思考力」のトレーニングを重要視するビジネスパーソンは多い。そうしたニーズを踏まえてか「~シンキング」「~思考」というタイトルの書籍が増えつつあるようだ。
書籍のみならず、日本のビジネススクールでも思考力トレーニングはその主役であるし、2013年4月には「一般社団法人日本論理思考検定協会」という業界団体も産声を上げている。
日本で「思考力本」の元祖といえば、外山滋比古氏(お茶の水女子大学名誉教授)による『思考の整理学』(筑摩書房)が挙げられる。思考法を身につけるうえで、このミリオンセラーから多くを学んだ経営者は実に多い(まだ読んでいない方は今すぐご覧になることを強くお薦めする)。
発刊から30年経ても色あせることのないこの名著は、現在の思考力本ブームにも影響を与えている。外山氏は2013年発刊の『思考力』(さくら舎)において、「知的メタボリック症候群」(=知識の増加につれ、考える頭が縮小し、思考力が低下していく現象)に対する警鐘を鳴らしている。これには私も全く同感である。
人事担当者においても、自社社員の思考がやや凝り固まりつつあることに悩んでいる方は多いのではないか。思考力を高めるトレーニングはもはや個々人に委ねるのではなく、教育場面で意図的に機会をつくっていかなくてはならない時代を迎えている。
私のお薦めは、あえて他業界における事例の中から、何が学べるかを研究することである。違う業界から学ぶには、新たな発想が必要となる。「アウェイ」から学ぶ姿勢が「思考力」の強化につながるのだ。
さて、思考力を学ぶうえで見ておきたい書籍は以下に大別される。
①長年読み継がれる名著
②コンサルタント等、優れた思考力を持つ著者の本
③脳科学者による本