OPINION2 人の感情や価値観がポイント 社内で、仕事で実践できる! 前田鎌利流アウトプット力向上術 前田鎌利氏 書家/プレゼンテーションクリエイター/一般社団法人 継未-TUGUMI- 代表理事
ビジネスパーソンが生み出すアウトプットには、社内向けと社外向けの2つがある。
双方のアウトプットの質やアウトプット力を高め、個人と組織の成長を両立させていくには。
プレゼンテーションクリエイターの前田鎌利氏に聞いた。
社内向けアウトプットの質を高める「3つの掛け算」
本稿では、ビジネスパーソンで、かつ会社や組織に所属している個人が、社内向け・社外向け双方のアウトプットの質や、そもそものアウトプット力を高めるためにどんな取り組みをしていくべきかについて取り上げる。ソフトバンク時代、孫正義氏のプレゼンを担当し、プレゼンの攻略術や社内・社外向けプレゼン資料に関するベストセラーをもつ前田鎌利氏には、最初に社内におけるアウトプットの質を左右するポイントを聞いた。
「まず、アウトプットを構成する要素としては、『時間軸』、『精度』、『視座』の3つがあります。時間軸とは、締め切りや期限。ただし、期限どおりに提出できたとしても、精度が低ければ意味がありません。そして視座は、仕事を指示した上司だけでなく、部長や役員といったさらに上位職の意図が正しく反映されているかどうかです。視座を高めることは、良いアウトプットを生み出すうえでとても重要なことですので、後ほど詳しくご説明します。
また、資料の作成やプレゼンにあたっては、提案の仕方がその企業独自の作法にマッチしていることや、組織ごとの文化の違いを意識することも大切になります。たとえば、財務部門ならば数字の見せ方が肝になりますし、技術部門ならば技術背景をしっかり見せる必要があります。営業部門は、訪問件数やコンバージョン率など、また別のアプローチによる見せ方が求められるでしょう。そういった組織ごとのツボを外さないことが重要です」(前田氏、以下同)
加えて、上司のタイプも考慮する必要があると前田氏。
「緻密な統計を求めるタイプの上司に対しては、データ等の準備が必要ですし、熱意を重視する上司であれば、話し方に配慮する必要があります」
つまり、①企業文化、②組織文化、③上司のタイプという、3つの要素の掛け算によっても、社内向けアウトプットは大きく変わってくるということだ(図1)。
「ステージゼロ」での準備が鍵
ステージゼロでの準備① 情報
上記の前提を踏まえたうえで、アウトプットの質や、アウトプット力を高めていくためには、どんな準備が必要になるだろうか。
「まず『ステージゼロ』での準備が重要だと考えています。ステージゼロとは、具体的な案件が動き出す前の平常時のこと。案件が走り出してアウトプットが求められる段階になってから準備したのでは遅いのです。ここで準備の軸となるのは、『情報武装』。情報のなかでも特に“1次情報”が鍵になります」