CASE2 コニカミノルタジャパン|“言わなくてもわかるだろ”からの卒業を テレ・マネジメントの鍵はアサインの“言語化”にあり 伊崎公司氏 コニカミノルタジャパン コーポレート本部 人事総務統括部 人事部 部長
情報機器大手のコニカミノルタの国内事業会社であるコニカミノルタジャパンでは、2013年に働き方を見直すためのプロジェクトをスタート、2017年からは全社員を象にテレワークを解禁し、オフィスにしばられないワークスタイルを広めてきた。
さらに2020年、新型コロナウイルス感染症対策のため、在宅勤務を原則とする働き方にスイッチ。
そこで見えてきた新たな課題と傾向、そしてテレ・マネジメントのポイントについて、人事部トップの伊崎公司氏に話を聞いた。
事業戦略としての働き方改革
コニカミノルタジャパンが、他社に先駆け働き方改革に着手したのは2013年である。
きっかけは2つ、1つは翌年に控えた日本橋から浜松町への本社移転、もう1つは主力としていた複合機を主体とした販売事業からの転換を図るためだった。オフィスのIT 化とペーパーレス化が進み、これまでのビジネスモデルを進化させる必要があった。次世代につながる事業のシーズを見いだすには、本社移転を活かさない手はないと考えたと、コーポレート本部人事総務統括部人事部部長の伊崎公司氏は説明する。
「当時は“ワークスタイルデザインカンパニー”と銘打ち、お客様企業にとって最適なオフィス空間を提案し、それに見合うソリューションを届けることに、事業の主軸を移しつつありました。当社には“自社実践”という、まずは自分たちで試し、いいところも悪いところもすべて出そう、その経験をビジネスに活かそうという風土が培われています。私たちの組織の働き方を変えることで得た知見は、そのまま新商品の開発やお客様への提案につながるという発想で始まったのです」(伊崎氏、以下同)
つまり同社の働き方改革は組織の成長戦略にとどまらず、事業戦略とも直結するものだったといえる(図1)。そのため進め方も現場主導で行われた。社長直轄の「働き方変革プロジェクトチーム」を立ち上げ、若手・中堅を中心に各部署からメンバーを募った。50人程度のメンバーが中心となり、オフィス運用のしくみやICT の活用、新しいワークフローなど、社員自らが考えた取り組みが生まれた。
このプロジェクトは、毎年メンバーを変えながら継続的に活動している(現在は「働き方改革プロジェクト」と名称変更)。経営層は変革の重要性を社内に訴え、マネジメント層は推進責任者となり、プロジェクトの活動をバックアップする。そして人事はプロジェクトの活動を受け、人事制度や施策に反映すると同時に、社員に対して働き方に対する意識向上の啓発活動を行っている。
雑談から始まったテレワーク
テレワークの導入も、人事部と働き方改革プロジェクトの共同企画として進められた。
「きっかけは、プロジェクトメンバーとの雑談でした。パソコンは持ち運びできるし、Wi-Fiも私たちの生活に欠かせないものとなった。ネットがつながる環境なら、どこでも仕事ができるはずと、試しにやってみようということになったのです」
それが2016年に行われた、「テレワークトライアル」につながる。子どもの夏休みにあたる7月下旬から8月いっぱいまでの期間に、すべての社員が一度はテレワークを実施するという試みだ。課題を洗い出し、本運用に向け検討することが目的だった。