OPINION2 イマドキ職場の問題を整理 チーム“で”マネジメントし 抱え込まないしくみをつくる 沢渡 あまね氏 あまねキャリア工房 代表
現場のマネジメントに“てんやわんや”しているマネジャーは少なくない。どうすれば、少しでも状況が好転するのか。また人事に、彼らを救う手立てはあるのか。社内コミュニケーション、業務改善の専門家である沢渡あまね氏が、課題のポイントと解消につながるアクションについて解説する。
チームでマネジメントする時代
「今のマネジャーは、オーバーフロー状態なんです」と話すのは、あまねキャリア工房代表の沢渡あまね氏だ。近著の『マネージャーの問題地図』では、「1人マネジメントからの脱却」を訴えている。
「管理職は上からのプレッシャー、下からの突き上げに挟まれた状態です。加えて近年は、グローバル化に多様化、IT 化に加え、コンプライアンス、働き方改革、部下のモチベートなど、マネジャーに期待する要素が複雑多様化しています。これらをマネジャーが1人で抱え込んでしまっているのでは」(沢渡氏、以下同)
今や前例を踏襲すれば成長できる時代ではない。それにマネジャーにも一人ひとり得手不得手はあり、キャパシティーにも限度がある。課題と責任をただ与えるのではなく、マネジャー自身のモチベーションにも配慮する必要がある。
「ですからこれからの時代は、役割を分担し、チーム総力戦でマネジメントできるようにしたい。マネジャーは、その中核を担います」
チーム全員によるマネジメントを実践するには、何から始めたらよいか。そのヒントは後述するとして、まずは機能不全を招くマネジメントの“穴”を解明していきたい。
沢渡氏は前出の著書のなかで、マネジメント不全に陥るスポットをバス路線図になぞらえて紹介している(図)。停留所は1丁目から7丁目まで。その内容は次のとおりだ。
1丁目:モヤモヤ症候群(ビジョンや仕事のゴールが不明瞭、情報共有がなされておらず曖昧な状態)
2丁目:何でも自分でやってしまう
3丁目:コミュニケーション不全
4丁目:モチベートできない・育成できない
5丁目:削減主義
6丁目:気合・根性主義、目先主義
7丁目:チャレンジしない