OPINION1 With & Postコロナの人材マネジメント 課題と解決に向けて人事とマネジャーがすべきこととは 三城圭太氏 三菱UFJ リサーチ&コンサルティング 他
2020年6月、三菱UFJ リサーチ&コンサルティングが発表したレポートでは、「コロナ起点の人材マネジメントの課題分類と対応する施策」が整理されている。
マネジャーのマネジメントスタイル転換の方向性と、人材マネジメント課題解決における人事部門の役割や各施策を進めるうえでの注意点とは。執筆者2名に話を聞いた。
『With&Postコロナの人材マネジメント概論』概略
三菱UFJ リサーチ&コンサルティングは2020年6月、『With&Postコロナの人材マネジメント概論
働き方が大きく変わる中で人事部門が実施すべき3つの取り組み』※というレポートを発表(以下『概論』と略す)。コロナ禍における人材マネジメント上の課題を、①「社員の安全」、②「生産性の維持・向上」、③「基盤強化の維持・最適化」の3区分で整理。そして、それらの施策を着実に行うために人事部門が取り組むべきこととして提言を行っている。
数カ月先の予測すら立てることが困難なWithコロナ時代。同社で『概論』を執筆(4月)・発表(6月)した際と、状況はまた変化した。
そこで本稿では特に「コロナが企業の人材マネジメントに与える具体的な影響」に焦点を当て、執筆を担当した三城圭太氏と中山尚美氏に、ポイント解説と、執筆後の思索や追加提案を聞いた。
※ https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2020/05/cr_200602.pdf
人材マネジメントにコロナが与える具体的な影響
『概論』では、コロナ起点の人材マネジメントの課題分類(先の3区分)に対し「“急場しのぎ”の施策」と、さらに推し進めた「With&Post コロナの施策」を提示している(図1)。
「執筆時点では、コロナ流行が数カ月で収束する見立てもあったため『“急場しのぎ”の施策』がいったん一段落した後で、各企業が『With&Postコロナの施策』に取り組んでいくイメージをもっていました。ただ昨今の感染状況も踏まえると、あるタイミングから一気に『With&Post コロナの施策』に移行するわけではなく、図1左例の施策を継続しながら、企業の課題意識に応じて、図1右例の施策で優先順位の高いものから取り組んでいくイメージに近いと思います。また、コロナ環境下だから取り組むというより、コロナ以前から重要だった人事課題(たとえば、『人が育たない』『人事運用が硬直的である』など)を含めた統合的な取り組みや優先度判断が重要になると認識しています」(三城氏)
また、特に「生産性の維持・向上」を実現するうえでは、経営・人事部門と現場マネジャーがそれぞれの役割分担のなかで責任をもちながら、互いに連携して施策を推進する必要があるという。それぞれの項目について、次のように説明する。
場所・時間にとらわれない柔軟な働き方の実現
柔軟な働き方の実現に向けては、緊急事態宣言中に人事部門主導でテレワークなどの制度やツールを整備した企業が多い。一方、テレワークを前提としたワークスタイルを実現するためには現場のマネジャーの意思や働きかけが不可欠である。