第12回 「想定外」とどう向き合うか 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 副本部長
経営や人事を担う人材にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読みとく書籍を紹介する。
想定外のコロナショック
新型コロナウイルス感染症の拡大が世の中に暗い影を落としている。欧米において感染者が急拡大しており、日本でも(本稿執筆時点では)まだオーバーシュート、いわゆる急拡大には至っていないものの、感染者数は確実に増加トレンドにある。
リーマンショックを超える衝撃とまで形容されるコロナショックはいったい、いつ収束を迎えるのか。気が気でない読者も多いだろう。
コロナ関連の情報は、WHOや首相官邸、厚生労働省の情報は当然として、欧米のメディアにも目を通しておくとよい。ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、英BBC はお勧めである。CNNでコロナ関連の座談会を見ていると、専門家のコメントと緊張感の高さに驚かされる。専門家ですら予想しえなかった想定外の出来事が起こったときこそ、我々は視線・視野を拡げなくてはならない。
さて少し話題が変わるが、本来、2020東京五輪・パラリンピック(2021年に延期決定)を契機に導入が進む予定であったリモートワークは、コロナの影響で多くの企業で一気に加速している。Microsoft のTeams やZoomといったリモートツールはここにきて一躍有名になった。結果として、長年なかなか進まなかったリモートワークはこれから「新しい働き方の基準」として定着していきそうだ。
これからをどうとらえていくのか
帝国データバンクの調査(2020年4月)によれば、実に8割を超える企業が、コロナによる業績へのマイナス影響があると回答している※1。 8割というのは大変な数字である。
ただ、今の状況が未来永劫続くことはない。日本も世界も幾多のショックを「知恵と工夫」を駆使して乗り越えてきた歴史がある。こんな今だからこそ、下記のような視点で、書籍を選んでみたい。
①先人の知恵と工夫が学べる書籍
②過去の「ショック」を乗り越えた工夫が学べる書籍
③日本の未来を憂い、厳しい指摘をしてくれる論客の書籍