CASE3 ジャパネットホールディングス|全員を巻き込み、活動をしぼませないために “楽しみながら取り組める工夫”と“徹底したフォロー”が社員の健康の鍵 田中久美氏 ジャパネットホールディングス 人事本部 人事戦略部 シニアリーダー
健康に対する意識の低い社員をどう巻き込むか」「一過性のイベントで終わらせず、いかに継続するか」。
健康経営に取り組む多くの企業が直面するこれらの課題を乗り越え、積極的な活動を展開するジャパネットホールディングス。
その背景には、決めたことを徹底的に追いかけるストイックさと、一体感をもって楽しみながら取り組む風土があった。
「元気を発信する企業」でありたい
ジャパネットグループは2019年、「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」に認定された。今回が初申請・初認定だが、従業員の健康を重視するようになったのは最近のことではない。
「認定を取得するために何かをしたわけではなく、当社がこれまでやってきたことがどう評価いただけるのか一度確認してみようと申請したところ、ありがたいことに認定をいただくことができました。創業者の髙田明は、ウォーキングシューズを販売しながら歩くことの大切さを熱く語り、お客様だけでなく、従業員にも健康の重要性を繰り返し説いてきました。2015年に社長に就任した髙田旭人も、正社員だけでなくコールセンターの契約社員やパート社員にも睡眠の大切さを学ぶ研修を行うなど、『ワクワクを発信する企業』として、従業員自身も健康であるべきだ、ととらえています」
人事本部人事戦略部シニアリーダーの田中久美氏は、自社の考え方についてこう説明する。
ただ、「健康が大切」という意識は根付いていたものの、従業員の健康増進を後押しする体制や制度・環境が整ってきたのは近年になってからだ。
「10~15年前は、たとえばカタログをつくる部署であれば入稿前は深夜まで作業することも当たり前でした。しかし、髙田旭人は、会社が大きくなっていくなか、皆が気持ちだけでついていくチームではなく、組織としての基盤を整えなければならないと考え、健康経営や働き方改革を進めてきました」(田中氏、以下同)
2018年には「ジャパネットグループは、全社員の心とからだの健康の実現と、世の中の健康増進に貢献するため、会社と社員が一体となって健康経営を推し進めることを宣言します」という「健康経営宣言」を公表。人事本部内に産業医や保健師を中心とした「健康開発室」を設置し、人事・総務と連携して、従業員の健康管理・健康増進に取り組んでいる。
担当部署が中心となり決めたことを徹底
同社の取り組み方の最大の特徴は、「決めたことを当たり前に、とことん追いかけていくやり方」だ。
残業時間の管理であれば、パソコン上で退勤の打刻をした時刻と職場を退出した時刻のログをチェックし、15分以上ズレがある場合は、その理由を人事が一つひとつ確認する。
健康診断で何らかの所見が見られた場合は、拠点の保健師が個別に声をかけ、二次検診の受診を強く勧める。同社は、全社の統括産業医に加え、各拠点に法定以上の産業医と保健師を配置し、しっかりとサポートできる体制を整えている。保健師も正社員であり、病気になった人への対応だけでなく、人事と一緒になって、制度や環境の改善にもかかわってもらう。