CASE2 味の素|社員のセルフ・ケアを支援 「知る」「考える」「動く」で自然に健康になる健康経営 浅井 誠一郎氏 味の素 人事部 労政グループ 兼 健康推進センター(健康経営担当)
2003年に「健康推進センター」を設立するなど、早くから従業員の健康に関する取り組みを進めてきた味の素。
健康に関する全社員対象の面談は約20年の歴史があり、社員自身の健康への意識を高めている。
「る・る・く」に基づいたセルフケアのサポートについて、話を聞いた。
“心身の健康“が成長ビジョンの土台
1908年に池田菊苗博士が発見した「うま味」。その成分であるグルタミン酸がアミノ酸の一種であることから、味の素は創業以来、アミノ酸を起点として幅広い事業を展開してきた。創業の志は、「おいしく食べて健康づくり」。まさに健康のエキスパート企業だ。
当然ながら、健康経営への取り組みも早い。社内に「健康推進センター」を設立したのは、2003年。同時に健康管理規程を策定して、社員にセルフケアで健康づくりをすることを求めている。世間で「健康経営」という言葉が使われ始めるずっと前から、味の素は従業員の健康を経営テーマの1つにしてきた。
同社における健康経営の位置づけについて、人事部労政グループ兼健康推進センターの浅井誠一郎氏はこう話す。
「味の素はグローバルトップ10になることを成長ビジョンとして掲げています。そのために『自律的成長』『働きがいの実感』『多様な人財の共創』を軸とした人財マネジメントを行い、個人と会社の成長の同期化を通じたイノベーションを実現していく。そのベースとなるのが、『心身の健康』、つまり健康経営です(図1)」(浅井氏、以下同)
健康経営を進めるにあたって立てた方針が、「味の素グループで働いていると、自然に健康になる」だ。基本は、社員のセルフ・ケア。自分自身でバランスの良い食事や適度な運動、良質な睡眠を意識した生活をしてもらい、会社はあくまでもそれを支援する立場と位置づけた。
「社員のセルフ・ケアに関しては、『知る』『考える』『動く』から文字を取って、『る・る・く』という標語をつくりました。社員は健康に関する知識を得たり、自分の健康状態を知る必要があります。知れば、食事など意識して動くようになり、自分の健康状態がどうなったのかを考えて、また知るというプロセスに入っていく。社員はこのサイクルを自律的に回し、会社は社員がサイクルを回しやすいように環境を整えます(図2)」
実は『る・る・く』は、同社で健康経営より一足先に始まった働き方改革のときにつくった標語である。だが、自律的にサイクルを回すという考え方はどちらも同じ。同じ標語を活用することで、いっそう社員に浸透しやすいようにしたのだ。