ART 日本美術家列伝 〜室町〜江戸時代前期篇 感性に忠実に独自の画風を打ち立てた絵師・雪村 矢島 新氏 跡見学園女子大学 教授
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雪村はおよそ西暦1500年ごろに生まれ、1580年代まで生きた。生涯の大半は戦国の時代である。今の茨城県あたりを支配していた名門佐竹氏一族の長子として生まれ、武士として戦に明け暮れる生涯を送った可能性もあったのだが、故あって禅僧となり、晩年まで絵を描き続けた。残念ながら今、雪村の知名度はさほど高くないが、日本史の教科書に《戦国時代の文化》といった項目がなく、そのため教科書から名が漏れていることが関係しているだろう。しかし残された絵を見れば、雪村が日本の絵画史のなかでも指折りの絵師であることがわかる。
生誕の地である常陸国部垂(茨城県常陸大宮市)をはじめ、会津、小田原、鎌倉、郡山市を転々とする漂泊の生涯を送ったが、足跡は関東周辺に限られており、京都の禅寺などを訪れることはなかった。関東は当時のおよそ300年前に鎌倉に幕府が開かれた地なので、まったくの文化不毛ではなかったが、都の最新の情報からは、ややタイムラグがあった。