おわりに 採用、適材適所、組織活性化、育成…… 目的を明確に、自社に合ったデータ活用を進める
データを活用する企業の事例
社員に関する情報通で、まるで生き字引のような人事メンバーや役員陣が中心となり、勘と経験で社員の異動や抜擢を決定する。そんな人事は、現在でもそれほど珍しいことではない。
だが、今は組織に“才能を埋もれさせておく”余裕のある時代ではないだろう。グローバルを含めた人材獲得競争が激化するなか、人材の課題をマンパワーだけで解決するのは、不可能だ。適切な情報を収集し、採用、異動配置、組織活性化、育成など様々なフェーズでデータを活用することで、より組織の競争力を高めることが可能になる。
本特集では、データを活用した人事施策を展開する7社の企業事例を取り上げた。簡単に振り返ってみたい。
❶データ分析で仮説を立て独自のシステムを構築
世に先駆けて人事分野におけるデータ活用の重要性を認識し、独自の分析を進めていた企業のひとつが日立製作所(CASE1)である。同社は、社内外で調査を行い、健康を意識している人は生産性が高いという「『生産性向上の意識』のモデル」と、「『配置配属のフィット感』のモデル」を確立。調査によって得られたデータやAIを使った分析結果を生かしたシステムを製作し、各種サーベイとともに育成・組織開発やリテンション等、様々な分野で活用している。