CASE2 セプテーニ・ホールディングス ベースにあるのは、“成長”を数値化した「人材育成の方程式」 AI型人事システムを開発 多様な場面で活用し社員を戦力化 赤澤祥貴氏 清水大彰氏 セプテーニ・ホールディングス 人的資産研究所
セプテーニ・ホールディングスでは、20年以上前からデータの蓄積を進め、2011年より本格的にピープルアナリティクスに関する研究を開始。
成長を数値化したデータを基にAI 型人事システム「人材育成エンジンHaKaSe」を開発た。
人事施策のどのようなフェーズで活用しているのか、どのような効果が現れているのか、話を聞いた。
360度評価のデータを20年間蓄積
インターネット広告事業を軸にマーケティング支援サービスの提供などを行うセプテーニグループ。同社では、20 年以上前からデータの蓄積を進め、同社代表の佐藤光紀氏のアイデアからピープルアナリティクスに関する研究を開始し、様々な施策を進めてきた。その最たるものが「人材育成エンジンHaKaSe」の開発である。
「これは、どのような環境の下であれば、どれくらい人が成長するかを数値化したAI 型人事システムで、当社の人材育成の概念を表した『人材育成の方程式』< G(成長)= P(個性)× E(環境)[T(チーム)+ W(仕事)]>の考え方に基づいて設計されています。当社ではもともと360度評価を実施しており、そのデータの蓄積があったことが、HaKaSeの開発につながりました」
同社グループにおけるピープルアナリティクスの専門組織、セプテーニ・ホールディングス人的資産研究所の赤澤祥貴氏は、こう語る。
同社グループでは、360度評価で全従業員が上下に関係なく、1人あたり約20人を評価する。その結果は人事評価の参考資料のひとつにもなっており、スコアの信頼性が高かったことから、システムの開発につながった。
HaKaSeは、採用から配置・異動、適応、育成など、実に多様なフェーズで活用されている。その代表例を紹介しよう。
フェーズ❶ 採用入社後の活躍・定着を予測
応募者のエントリーや選考時のデータなどを使い、AIが入社後の活躍や定着、言わば同社との相性を分析して意思決定のサポートをしている。
「これまで当社で活躍してきた人材がどういうパーソナリティー(P)で、どのような経験をしてきたかというデータは、360度評価などを通じて蓄積されています。そのデータを基に活躍可能性を予測するAI(機械学習モデル)を構築し、応募者の活躍可能性を予測しています」(赤澤氏)
このAI の判断と人間の判断を組み合わせることにより、採用業務を効率化するとともに、活躍・定着の可能性がより高い人材を採用できるようになっている。
たとえば、採用選考の面接時に、データから算出した応募者の活躍や定着を予測するシートを出し、面接官がこれを参考にしながら、学生時代にどんな体験をしてきたかなど、より具体的な質問をすることで、再現性を確認するといった具合である。一般の採用選考では面接が得意な人が合格しやすいのに対して、こちらは面接の得手不得手に関係なく純粋に「セプテーニグループでの」活躍・定着の可能性を予測するため、採用競争力にもつながるという。